
となれば車買取業者最王手、その買取台数・実績トップのガリバーについて、触れないわけにはいきません。
まずは、どういった会社なのかを知ってもらいことから始めますが、その評判や口コミについて実は、このガリバーという業者いまいち良いものばかりではありません。
そこで今回は、この中古車業界のトップブランドの概要から筆者が現役の車業界にいた時代、実際に元ガリバー従業員から聞いたことなども含めて、その気になる評判なども紹介していきたいと思います。
ガリバーの生い立ちと歴史
創業の2年後、1996年から使い続けていた慣れ親しまれた社名である「ガリバーインターナショナル」から、チャレンジを意味する「挑む」から命名された、「IDOM(イドム)」に2016年7月に変更。
買取店舗ガリバーと販売店舗ガリバーアウトレットなどを運営する同社の概要と歴史、そして肝心の中古車買取査定の特徴について、触れていきたいと考えています。
業界の流れを変えた革新的買取専門店
その設立は、意外にも1994年と比較的最近のこと、順調に業績を伸ばし、2000年には東証2部に上場。
そして、翌2001年から現在に至るまで、中古車買取台数のトップの座を一度として譲っていない、中古車買取業界のトップランナーです。
創業者の羽鳥兼市(はとりけんいち)氏は苦労人、自身が義理の兄と興した会社は同業者の不手際によって負債3億円を抱える状態で倒産。
しかし、翌年には前身となる「東京マイカー販売」を設立し、買取部門として誕生したのが「ガリバー」という買取店ブランドです。
創業者の羽鳥兼市氏は、常々中古車業界に横たわるジレンマについて不合理性を感じていたのだそうです。
それが「在庫車」で、多くの中古車販売店は自身の店舗に数十台、多い時は数百台の在庫車を持っていますが、その多くが長期間保持されている車体です。
中古車販売店という商売は、例え200台もの車体を保有する大規模店でも月に50台売れれば繁盛店、ということは残る150台は「お飾り」となっています。
「でも4ヶ月あれば一巡するじゃん!」
は甘い、その時々の流行や時勢で売れていく車種というのは限られているため、酷い時は数年たってもピクリとも動かない車体が存在します。

という声が聞こえそうですが、考えてみてください。
中古本を扱うお店で、いくら売れ行きがいいとはいえ、人気コミックの新作だけを売っているわけではありませんよね?
それと同じで、中古車店としての体裁を保つためには売れ筋の車体ばかりを並べておけないのです。
ましてや、買取車に至っては、買い手側が車種などを選ぶことなんて、絶対にできません。
経験から言えば、200台中3分の1は、売れることなく仕入れ先であるオークション会場に舞い戻ることになります。
問題はその循環の間で、中間マージンや経費がかかること。
つまり、せっかく中古車販売で利益を上げても、この要らない経費分目減りしてしまうことになるのです。
そこで彼が考え出したのが、以後買取店のスタンダードとなる、「在庫車」を極力持たない買取・販売システムです。
このシステムは、買取した車を2週間という短い時間のみ展示・直販、それを越えても販売できなかった車体は即座に業者オークションに流して利ざやを稼ぐ、「直販・転売共用型」です。
在庫を増やすことを避け、徹底した無駄の排除でその高い買取査定を実現してきたのが同社の特徴で、1号店出店からわずか5年余りでその店舗数を500以上にまで増やしました。

そういえば、ガソリンスタンドが閉店したら、数日のうちに緑と黄色のガリバー店舗に変わっていました。
確かに、数台の在庫を管理できるスペースに車をリフトアップして査定できる設備、更に簡単な事務所として使える建屋のあるガソリンスタンドは、買取専門店を作るには格好の物件です。
販売チャンネルの充実化

買取した車を2週間というわずかな期間しか販売商品ととらえず広い販売ブースを持たなかったガリバーが、2009年「ガリバーアウトレット」という販売ブースも充実した「直販店舗」を本格的に展開し始めます。
年々その数は増え現時点では50店舗ほど、その在庫数も7,000台とビッグモーターの4万台には及びませんが、飛ぶ鳥を落とす勢いでその買取専門店舗を増やしていた当時からすれば、驚きの変化でした。
従来のガリバーの中古販売と違う点がもう1つ、これまでガリバーで販売されていた中古車は、
- 整備
- 点検
- クリーニング
- 板金・塗装
が施され、さらに、最長で10年物補償を付随した状態で「セット販売」されていて、これはビックモータのスタイルに似ています。
しかし、ガリバーアウトレットはそれらをつけるかつけないかは購入者の意志に任せ、お買い得でシンプルなその名前通り「アウトレット価格」での購入も可能になっています。
さらに、ビックモーターとの差別化を図るため、
リベラーラ・・・店舗数21、BMW・アウディ・メルセデスを中心とした輸入車専門のセレクト中古車店。
積極的な買取も行っており、確立していない中古輸入車市場を引っ張る存在になる可能性も。
スナップハウス・・・15店舗が営業中、ファミリーカーを専門に販売だけでなく、メンテナンスやアフターフォローまで行う。キッズルームや授乳室、2時間300円で利用できるフリードリンクなど、家族連れを強く意識した店作りとなっている。
WOW!タウン・・・「ココロ躍る車選び」をモットーに、社内ソーシャルから2012に誕生した、新感覚の中古車販売施設で現在全国に4か所が展開。施設内で快適に過ごしている間に、併設する「FACTORY」で整備・点検を受けることもできる。
(店舗数は2017年6月時点での各公式HP参考)
など、ユーザーニーズに合わせた、多角的販売チャンネル展開をしてきました。
感覚的に言うと、ビッグモーターが中古車の「総合大型デパート」のような展開なのに対して、ガリバーのそれは「専門店街」といった感じです。
ガリバーアウトレットと併せても現時点では100店舗ほどの数なので、まだまだ全国でその姿を頻繁に見るのは従来店舗がほとんどですが、地力に勝るガリバーが、販売面でもそのトップの座を取り戻す日もやってくるかもしれません。
いまだ創業者一族がそのトップに君臨
現在の社長は羽鳥兼市氏の長男と次男の2人体制であり、東証に上場している完全な一族企業の中で、社長が2人いるのは非常に珍しいことです。
創業者の影響力の強い企業でトップダウン方式のワンマン経営については業界でも有名です。
しかし、新社名となった2016年を機に、羽鳥兼市氏は引退を表明しました。
名実共に社長2人での運営が始まりましたが、株価は全盛期の3分の1にまで暴落、世襲に対する弊害を気にした投資家などの目は冷ややかでした。

ここ数年のガリバーの動き次第で、中古車業界の勢力図も大きく変化してしまうのではないかと考えています。
ガリバーに対する評判とは?苦情も多いって本当?
本来は概要に触れた後、その買取査定の特徴について紹介していく流れで、車査定業者比較をしていきます。
ですが、冒頭でも触れたように、このガリバーに対する口コミや評判は良いもの、悪いもの、その買取実績の多さに応じて千差万別です。
中古車の買取査定において、接客態度や手続きのスムーズさなどについて、買取査定額より気にするユーザーも多く見受けられます。

ガリバーへの辛辣なマイナス口コミ
ガリバーに対する口コミや評判の特徴は、とにかく悪い評判の中に「強烈なもの」が多いことです。
真偽については後程語るとして、まずはそれらの中でも特に強い苦情やクレームについて紹介しておきましょう。
お客さんに対して上から目線な店員で、距離数乗った車は査定どころかお金いただきますよって言われた。今まで大切に乗り続けてきた車なのにバカにされた気分でした。
参考URL:ガリバーの口コミ・評判~みん評・みんなの評判ランキング~(https://minhyo.jp/gariba-kaitori/#ico_kuchikomi)
参考URL:ガリバーの口コミ・評判~みん評・みんなの評判ランキング~(https://minhyo.jp/gariba-kaitori/#ico_kuchikomi)
ですが書類などを準備して入金を待っても中々されないので、担当の人に連絡したら今やってるから待ってろ、みたいなことを上から目線で言ってきました。
参考URL:車の買取査定の依頼をネットでやったらガリバーが・・・~知恵袋~yahoo!JAPAN(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10175933870)
こういった、接客マナーの悪さを中心にした口コミ・評判が多いのは、現実問題としてかなり不満を抱いたユーザーも多い、ということでしょう。
しかし、筆者の知る限りガリバーのセールスマンは、その多くが確かに海千山千の営業のプロ。
査定額交渉において、一般ユーザーでは知識面でも経験でも彼らに話術で太刀打ちするのは難しいでしょうが、約束の時間に遅れたり、最後の口コミにあるような客に対する口の利き方をしたのを見たことはありません。
ただ、昔からガリバーは、その急成長によって飛躍的に店舗数を増やしたため、一部店舗では十分な接客マナーの教育がすべてのスタッフに均等に行き届いていないという話を耳にします。
また、店によって接客のレベルや買取査定が変わるのは大手買取チェーンであれば、ガリバーに限らずどの企業でもいえることです。
さらに、これは中古車買取専門店ならではの性質ですが、買取査定をしに来るのは紛れもなく「お客様」にもかかわらず、店側が取引の結果「お金を渡すという強い立場」だととんでもない勘違いをする若いスタッフが少なからずいるのも業界全体に言える問題点です。
ガリバーに増えてきた良い評判
概要のところでも触れましたが、今ガリバーはその経営スタイルの転換期にあり、これまでのシンプルかつ合理的な買取中心から、しっかりと店舗を構え直販にも力を入れることに、企業全体がパワーシフトしています。

また、それに応じてくれた事も◎でした。
参考URL: ガリバーの口コミ・評判~みん評・みんなの評判ランキング~(https://minhyo.jp/gariba-kaitori/#ico_kuchikomi)
参考URL: ガリバーの口コミ・評判~みん評・みんなの評判ランキング~(https://minhyo.jp/gariba-kaitori/#ico_kuchikomi)
笑顔で対応、それに丁寧な挨拶と清潔な店なんて接客業のイロハ、そんなことが今更良い評判として挙がるのは、「おかしい」と思う方もいるかもしれません。
昔から車業者は横柄・強引・汚いというイメージを持たれるもので、そういった店舗の整理整頓が行き届いていない中古車店や、接客のなってない買取店が多かったというのも事実です。
それを、わざわざ評価してくれて口コミする方がいるのは、過去に嫌な思いをしたユーザーが多いという証明です。

ガリバーの買取査定の特徴
販売台数では確かに長くビッグモーターに抜かれているものの、その買取台数はピカイチ。
ということは、ユーザーに支持されるだけの高価買取がなされているのかが、気になるところです。
ここからは、事業展開の多角化に合わせて、少しづつ変わってきたガリバー買取査定の特徴について触れていきましょう。
横割りの社内改造が成功した影響
悪い評判や口コミで紹介したように、ガリバーにはその高圧的な接客でなし崩し的に中古車を安く買いたたくなんてイメージがついてしまっています。
しかし、創業者の考案した買取システムを武器に、若々しく突っ走ってきたガリバーも設立から20年以上を経過しています。
人間ならば成人を迎えるように、ガリバーも「おとなの企業」と生まれ変わらねば生き残っていけず、そのことはガリバー自身分っています。
販売チャンネルの充実と「IDOM(挑む)」という社名への変更はその象徴で、いまだ現役で残るスタッフに聞くと、設立当初に比べれば上司や本部からの圧力がかなり弱まって自由な社風になりつつあるのだとか。
上記で紹介した車のテーマパーク、「WOW!タウン」の開店を実現に導いた、社内ソーシャルの導入もそのいい例です。
これまでワンマンだといわれ、縦割りが厳しい社風であった中、社内限定のSNS「yammer(注)」で社員約2000人の見識と意見を集中したことが新しい店作りとサービスの向上にうまくつながっています。
元々の買取・販売ノウハウは他業者の比ではない中、横への情報交換がスムーズになったことで、契約に伴う手続きスピードが上がり連絡に行き違いによる接客ミスも軽減しています。
結果的に、ガリバーグループ全体での中古車の販売成績は順調な伸びを見せ始め、それに合わせて買取査定の水準も、以前よりアップしてきています。
(注)yammar・・・アメリカの経済紙「フォーチュン」が毎年リストアップする、米国のトップ企業500 社のうち85% 以上が利用。全世界で 150 か国以上で利用されるソーシャルネットワークで、期間を限定することなく基本機能を使える。
コンテンツが分かれている優位性
ガリバーでは、各販売チャンネルごとの買取査定も行っていますが、売り手としてやってくるのが、それぞれの車種タイプの既存ユーザーである場合も多い。
つまり、「ミニクル」にやってくるのは売却と同時に次車両の購入も視野にした軽自動車に乗っていて方が、
「スナップハウス」には意見を聞きたい奥様や子供も同伴した家族連れでワンボックスユーザーに乗っている方が来店するパターンが増えてきます。
それに伴って、効率の良い販売と買取の同時進行が可能となるため、有利に買取査定を進められるケースも増えてきます。
「専門的な車は専門店で売る」というのは車を高く売るための1つの方法あり、軽自動車にしろワンボックス車にしろそれぞれに特化した販売店での買取査定ではそうでないところより高値が付くこともよくあります。
特に、専門的な買取店の少ない海外輸入車については、ガリバーの輸入車販売・買取店の「リベラーラ」を選択肢に入れておくというのも十二分にありと考えます。
まとめ
手厳しいクレームなどもあったガリバーですが、ここ数年はその買取査定も接客もどんどん質が上がってきているという声もよく耳にするようになってきました。
王者として長年身に着けたベルトを取り去り、社名通りにチャレンジャーの立場として真摯にユーザーと向き合った時、ガリバーは「真の巨人」となって頂点に君臨するはずです。

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