本格的な夏シーズンがやってきます。キャンプやBBQ、実家に帰省したり。
夏は何かと車に人を乗せて移動することが増える季節です。
そんな時どうしても気になるのはエアコンのニオイ。
あなたも人の車に乗ってエアコンを付けた時、「う・・なんだこのニオイ・・」
そんな経験をしたことは1度や2度ではないと思います。
さらに近年は、異常な猛暑が日本各地で報告されています。
「猛暑日、渋滞中にエアコンが効かなくなったら・・・」
想像しただけでもゾッとしますし、命の危険に直結する場合もあります。
そんな非常事態を少しでも予防するため、簡単なエアコンの点検方法、また車のエアコンってどういう仕組みで動いているのか?ご紹介したいと思います。
エアコンの嫌なニオイの正体は?原因はどこにある?
まずエアコンのニオイの直接的な原因は何なのでしょうか、それはカビです。
部屋でも押し入れでも食べ物でも、暗くてジメジメしたところにカビは発生します。
車のエアコンシステムを考えた場合、その条件にもっとも当てはまる場所が2箇所あります。それはエアコンフィルターとエバポレーターというエアコン内のパーツです。
前者のエアコンフィルターは何となく耳にしたことがある人もいて、どんなパーツかもなんとなく想像できるかと思います。
後者のエバポレーターは聞いたことがない人がほとんどだと思います。
それでは、この2つのパーツについての役割を説明しながら、それぞれの交換方法も説明していきたいと思います。
エアコンフィルターとは
まずエアコンフィルターについてです。
別名クリーンエアフィルターと呼ばれることもあります。
またフィルター関係を総称してエアフィルターと読んだりすることもあるので、そこがややこしいとこです。
とにかくエアコンに使うためのフィルターなのか、エンジン吸気の為に使うものなのか、はっきり確認してから購入することをおすすめします。
本題に戻りますが、これがエアコンフィルターです。
エアコンフィルターの主な役割は、エアコン機構にキレイな空気を送りこむ為の空気の濾過(ろか)装置だと思っていただければ良いと思います。
エアコン機構内は様々なパーツで構成されてはいるものの、大前提としては空気を取り入れ、その空気を冷やしたり、暖めたりして車内へ送風することで、暖房や冷房として機能しています。
その空気は車の内外からエアコン内へと取り入れられている訳ですが、
内気、外気問わず空気中には見えないだけで多くの不純物(土、ほこり、枯葉、石、毛、花粉、紙くず、食べかす等)が含まれています。
そんな不純物がそのまま取り入れられてしまうと、エアコン機構内のパーツは大きなダメージを受けてしまいますし、そういう空気が乗車している人の空間へ流れ込んだら不衛生極まりありません。それを防ぐ為にあるのがエアコンフィルターの役割です。
エアコンフィルターは不織布やグラスペーパーなどが折り重ねられた構造で出来ていて、ここを空気が通ると、不純物はこしとられ、きれいな空気だけがエアコン内へ入っていき、やがて車内へと届きます。
察しの良い方はここで気が付くと思いますが、では溜まっていった不純物はどうなるのか?ということが重要になってきます。
もちろんエアコンフィルターには不純物自体を浄化する効果はありませんので、不純物が溜まっていったら定期的に交換する必要があります。
実はエアコンフィルターは車の定期交換パーツの中でも定番中の定番なのです。
目安は10000kmか1年に1回交換と言われていますが、これも車の使用条件や使用頻度により結構変わります。
不純物がたまり続けたフィルターは目詰まりを起こし、フィルターとしての効果は薄れ、放置しておくと不衛生極まりない状況になります。
不純物自体もニオイを発生するようになりますし、通気が行われないこの状況はカビの大好物な状態でもあります。雨の日や湿度の高い梅雨などは特に要注意で、カビが一気に大繁殖、そこからニオイが発生してしまうのです。
もしエアコンを付けた際、嫌なニオイを感じたら、まずいつエアコンフィルターを交換したのか?過去の整備記録や整備請求書を開いて調べてみましょう。エアコン内は上記のような状態になっていることが考えられます。
また、古くなったエアコンは単純に臭いだけの問題ではなく、雑菌や病原菌の温床になるケースもあります。小さいお子様や高齢者など免疫力の弱い方がいる家庭では特に注意が必要です。
前回の交換から1年以上経っているようであればなるべく交換しましょう。
エアコンフィルターの交換方法
それでは早速エアコンフィルターの交換について説明していきましょう。
エアコンフィルターの交換は大きな故障や事故に繋がるリスクも少なく(ないわけではない)、タイヤのスタッドレス交換の方がよっぽど手間もリスクもあると個人的には思います。スタッドレス交換を自分でやる方はこれだけ大勢いるのに、エアコンフィルター交換は分からないからディーラーや整備工場にまかせているという人が多いのに少し驚きます。
もちろんリスクが0という訳ではないので、自己責任という部分はありますが、作業的にはスタッドレス交換ができれば、ほぼほぼエアコンフィルター交換もできると思います。
エアコンフィルター交換するにあたって注意する点を1つあげるとすれば、自分の車に適合したフィルターを購入するという点です。
インターネットで何でも買えるシステムがこれだけ整った時代なので、フィルターの適合もきちっと事前確認すれば間違えて買うことは大方避けられると思います。
「事前準備」
まずは事前準備です。道具はいたってシンプル、新規のエアコンフィルターと取り外しのドライバーくらいです。
作業前の注意点として、車はエンジンを切り、水平な場所におきサイドブレーキを掛けて作業するようにしましょう。
それでは早速古いエアコンフィルターを外していきます。
今回はBMWミニのエアコンフィルターを交換していきます。
BMWミニのエアコンフィルターは助手席の足元、この部分にあります。
写真のケースの中にエアコンフィルターがセットされていますので、まずはこのケースの口を開けます。
爪で引っ掛けて固定されているので、マイナスドライバーなどで爪を押し上げて外します。
ケースの口が外れると、エアコンフィルターが姿を現します。
こんな感じで設置されています。
次に古いフィルターを外しますが方法はいたってシンプル、フィルターを掴んで下の方向に引っ張るだけでスルスルっと抜けます。
ケース内の外側にガード(溝)がS字上に伸びて、このガード(溝)に沿って取り付けられているのが分かります。
そして外した古いエアコンフィルターの拡大が以下です。
フィルターをよく見ると多くのチリやゴミが付着しているのが分かります。
あまりしたくはありませんが、遠目から少し匂ってみるとやはりあの嫌な臭いがしました。
1年以上交換していなかったのでやはりここがニオイの原因の1つだったのは間違いありません。
それでは次に新規のエアコンフィルターを取り付けていきます。
新規のものは当然と言えば当然ですがとてもきれいです。まず色が違います。
取り付け方もいたって単純、外した時と逆にガードにそってフィルターを押し上げるだけです。最後までは押し上げたのを確認したら、あとはケースのふたを閉じて終了です。
以上がエアコンフィルター交換になります。とてもシンプルです、作業時間はたったの5分ほどです。ぜひカビ臭いなと思ったら、整備工場やディーラーへ行く前に、手軽でスピーディーにできるフィルター交換に自分で挑戦してみるのも良いと思います。
エバポレーターとは
それではフィルターの次は、エバポレーターについて説明していきましょう。
まずは大抵の人がこのパーツ名自体聞いたことがないと思います。
エアコンシステム内に取り入れられた空気は、このエバポレーターを通過するときに冷やされ、室内に冷気として出ていきます。いわばこのエバポレーターこそが冷気を作っていると言ってよいと思います。
このエバポレーターは冷房機能そのものとも言えますが、実はこここそがカビで浸食され、いわゆる臭いの元を発生させている大元凶でもあります。
理由は、常温の空気が冷やされる際、同時に水分も発生するからです。夏場に氷水の入ったコップに水滴がつくかと思いますが、あれと全く原理は一緒です。この水分はエバポレーターに溜まり続けるのではなく、随時車外に排出されています。よく水をポタポタたらしている車を見ると思います、あれがそうです。
しかし水は排出されているとは言え、一定の水分はこのエバポレーター内へ残り、ジメジメとした環境を作り出し、それがカビの元になっているのです。
ここでふと思うのは、このエバポレーターも先に説明したエアコンフィルターのように、DIYでサクッと新品に交換してしまったら?と考えてしまいます。しかしこのエバポレーターはそうは簡単にいきません。
まずその理由として挙げられるのが、エバポレーターは金属で出来ており、簡単にアクセスするような場所には設置されていません。
つまりフィルターと違い、エバポレーターはそもそもが定期的な交換を前提に作られているパーツではないのです。車種の多くはエバポレーターまでアクセスするのが大変なケースがほとんどです。
エバポレーターの清掃方法
まずエバポレーター清掃には大まかに2つの方法があると思います。
1つはエバポレーター自体を車体から取り外し、丸洗いする方法です。
カビを完全にきれいに落とすにはこの方法がベストだと思います。ただし私の意見ではこれはやはりプロの仕事、ダッシュボートそのものを取り外したり、その他多くの配線、ホース類に最善の注意を払い行う必要があります。DIYレベルでやるのはあまりお勧めしません。
もう1つはエバポレーターにアクセスできるというケースです。ダッシュボードの一部、フィルターなどの最小限のパーツを取り外せば、エバポレーターに直接的及び間接的に洗浄剤を吹きかけ洗浄することができるという場合です。
また今回紹介する方法は私自身が自己責任のもと試した方法です。
メーカーや車種によってエアコン機構の形状は様々ですので、あくまで参照としてご覧いただき、実際に試す場合は自己責任のもと作業を行ってください。
それでは早速説明していきましょう。
「事前準備」
まずは事前に準備するものをご紹介します。
以下が事前準備品です。
- エアコン洗浄剤
- 吹き付け用ホース
- ドライバー
- ウェースペーパー
- ライト
まずはなんと言っても欠かせないのが、洗浄剤です。
今回私が選んだのが家庭内(部屋用)エアコンの洗浄に使うエアコン洗浄剤です。
ホームセンターで一般的に売っているもので、価格も400円前後でお手頃です。ただし、カーエアコンには使用できませんと注意書きには書いてありますので、個人の責任のもと使用して下さい。
ホースはエバポレーターに噴射が届かない場合も考えられたので保険で買っておきました(今回は使いませんでした)。
そしてウェースペーパーは結構重要です。吹きつけの際あらぬところへ吹きかけてしまう場合もあるので、その際すぐに拭きとれるようにしておきましょう。
またライトも重要です。エバポレーターは大抵奥まった場所にあるので、ライトで照らしながら作業します。
「事前注意点」
続いては注意点です。まず車はエンジンを切り、水平な場所に停め、サイドブレーキを引きましょう。
また、車内にエアコン洗浄剤のニオイが充満しますので、ドアや窓は必ずあけておきましょう。
私が今回特に重要だなと感じたのはエンジンを切って行うということです。
今回は車及びエバポレーター専用の洗浄剤を使っていないということもあるので、引火等の危険も0ではないので、エンジンを切り、車のキーも差し込まず、車は完全にOFF状態で作業しました。また、エンジンが冷え切った後に行うこともこれと同じくらい重要です。作業途中で配管などに触れる場合があり、配管には高温の空気が通過しておりヤケドする危険性があります。
「エバポレーターの洗浄」
それでは早速エバポレーターを洗浄していきます。
まずはエバポレーターへアクセスするためいくつかパーツを外します。
私の車輌では、エバポレーターは助手席の足元右側のパネルの奥にあります。
なので、まずこのパネルをはずします。トルクスネジ2つで止まっています。
パネルをはずすとこんな感じで配線やら各パーツが姿を現します。またエバポレーターの姿は見えません。写真のシルバーの配管部分は高温になっていることがあるので十分に気を付けてください。
エバポレーターは上記写真の丸いパーツの奥にありますので、この丸いパーツを外します。
つまめるようになっているので、つまんで左に回してグッと引き抜くとスポット抜けます。
引き抜くと以下写真のようになります。
丸いパーツの先にはヒーターの芯棒のようなものが付いています。ここも高温になっていることがあるので注意が必要です。
このヒーターがハマっていた丸穴の先にエバポレーターがあります。
ただし狭く奥まった場所にあり目視で確認できないので、手に持ったカメラをぐっと奥に入れて撮影しました。
以下写真の丸穴の奥にあるヒダヒダ上の盤がエバポレーターです。手を伸ばせば指の先で触れることができます。
エバポレーターが確認できたらこの丸穴から早速、エバポレーターに向けて洗浄剤を噴射していきましょう。
ライトで照らし狙いを定めて噴射します。足元の奥まった位置にあり、体もすごい体制になるので噴射中のカメラ撮影は厳しいです。また、噴射する間は洗浄液のガス缶から大量の噴射ガスが出てそれが充満します。
ここでエンジンを切っておいてよかったと心底思いました。自分の場合は20秒前後くらい噴射したら一旦インターバルを取るようにしました。上半身を助手席足元につっこんでの噴射作業になるので、噴射ガスのニオイに耐え切れなくなります。自分は息を止めて作業するようにしましたのでやはり20秒噴射ぐらいが限界です。
これを4回くらい繰り返すと、ほぼほぼ洗浄剤1缶はなくなります。
噴射の途中に丸穴以外のところへ噴射液がいかないよう注意します。もし丸穴から液が飛び出したり、あらぬパーツなどへかかってしまったらすぐに液を拭くようにします。
またインターバルの途中で車の下から洗浄後の洗浄液がきちっと排出されているか確認しましょう。
写真のようにポタポタと流れています。
一応洗浄作業はこれで終了になります。車輌下からのポタポタが収まるのを確認したら、逆の手順でヒーターやパネルを戻して、作業は終了です。
今回紹介したエバポレーター洗浄と前項のエアコンフィルター交換が終わったら、必ずエアコンを始動しニオイチェックしてみましょう。もし何年も清掃したり交換した記録がなければ、ニオイは改善されているはずです。
そもそもエアコンはなぜ冷えるのか?車のエアコンの仕組み
現代の日本ではエアコンのない夏の生活は想像しただけでもゾッとします。
普段からエアコンの仕組みを理解し、ちょっとしたメンテナンスや点検をするだけで、エアコンが壊れて効かない。。。なんて非常事態を回避できるかもしれません。
通常であれば「エアコンの仕組みって難しそうだな」と思う人がほとんどでしょう。
しかしそんなことはありません、エアコンの仕組みの根本はいたってシンプルであり、車のエアコンも家で使うエアコンでも根本は一緒です。
身構えず気軽な気持ちで読んでみて下さい。
「エアコンの根本的仕組みは、氷に扇風機の風を当てるのと同じ!?」
上記の文章を読むと、なんと原始的な!と思うでしょう。
でも、嘘でもなんでもなく、エアコンの根本的な仕組みは氷に扇風機を当てると風が冷たくなる、この仕組みと一緒です(あくまで根本原理は)。
このイメージをずっと頭にいれておけば以降の説明もスッと入ってきます。
頭で想像しながら、もうちょっと詳しく説明します。
先述した通り、冷え切った対象物(氷)に、常温の空気を当てれば、冷たい空気が出来上がります。
ここで言う氷は実は2種類の役割を果たしています。
1つは熱源(冷源)としての役割、もうひとつは常温の空気を当てる為の物理的な対象物としての役割です。
当然、氷を常に置いておくわけにはいきませんので、この2種類の役割を半永久的に人工的に作りだせないかと考えたのです。
そして、この熱源(冷源)を生み出すものに冷媒ガス、空気を当てる対象物に金属を充てたのがエアコンの基本原理という訳です。
冷媒ガスは気化(液体気体)した際に周りの熱を奪う、冷却効果があります。これを利用しています。冷媒ガスに限らず、水でもアルコールでも何でもそうです。
注射の際、腕にアルコールを塗られるとスース―します、あれが冷却効果です。
特に冷媒ガスはこの効果が高いということです。この冷媒ガスとして有名なのが皆さんも一度は聞いたことがあるフロンです。(※現在フロンは環境破壊の観点から、エアコン・冷蔵庫等への使用は制限されている)
つまり冷媒ガスを、一定の場所で(液体気体液体気体)という風に繰り返して変化させる仕組みを作れれば、冷源を半永久的に作ることができるという訳です。
冷源の次は、常温の風を当てる為の対象物です。
皆さん冬場に雪かきをした経験はあるでしょうか?雪かきスコップの持ち手は大抵プラスチックか木ですね。もし持ち手が金属だったらどうでしょうか?冷たくて持っていられません。そう、金属は周りの熱が伝わりやすい、熱伝導率が高い物質です。
話をまとめると、冷媒ガスの気化による冷却効果で、熱伝導率の高い金属を冷やします。
この冷え切った金属に空気をあてればその空気が冷やされ、冷気として車内へ出ていくという仕組みが車のエアコンの正体です。
ちなみにこの金属部分には熱伝導率が高く、錆びにくく、軽い、アルミニウムが使われています。勘の良い方は分かると思いますが、この金属部分が何を隠そうエバポレーターという訳です。エバポレーターはなるべく空気に触れる面積を増やすため、波を打った薄い形状で、何枚も折り重なっているヒダのような形状をしています。
常温の空気は、この折り重なったヒダの隙間を通過する際冷やされ、冷気に変わるということです。
では冷媒ガスはどうやって(液体気体液体気体)という風に繰り返して変化しているのでしょうか?関係しているのは圧力と温度差です。
気体の状態の冷媒ガスは、エバポレーターを出た後コンプレッサーという所で高圧をかけられます(圧縮される)。高圧になったガスはその特性で温度があがり半液体状態になります(80℃くらい)。
その次にコンデンサーというところに送られます。そこでファンや車の走行風により30℃近くにまで一気に冷やされます。この温度差変化により、今まで気体だったガスは液体化します。
次に液化されたガスはレシーバーというところで、不純物や余分な水分が除去され、高圧の液体ガスとしてエキスパンションバルブというところに送られます。
エキスパンションバルブには小さい穴が開いていて、高圧の液体ガスはこの小さい穴から霧状に散布されます。散布されたガスはいままでの高圧状態から解放され低圧状態になり、それにより液体から気化と変化し、同時に冷却効果が生まれます(10℃以下)。
冷えた気化ガスはすぐさまエバポレーター内部を通過することで、エバポレーターを冷やします。内気及び外気から来た空気はこの冷やされたエバポレーターの外面に送風され、通過することで冷気となり車内にむかうということです。これが一連のエアコンの仕組みです。
ちなみに、エアコンのスイッチを押した時にブン!と音たてて稼働音がなると思います。あれは何を隠そう冒頭で説明したコンプレッサー(高圧機)の始動音なのです。
エアコンの最も手軽な点検方法
上記の通り、エアコンの仕組みを説明すると、いかに冷媒ガスがエアコンにとって重要かわかります。エアコンにとって冷媒ガスは命とも言えます。
実はこの冷媒ガス、漏れること(減っていく)があるのです。
当然冷媒ガスは密閉された管の中をぐるぐる回っているのですが、接続の不具合、バルブなどの劣化により、徐々に漏れていくケースがあります。走行により常に振動にさらされている車では、完璧にガスを密閉することは難しく、長期間で見るとすくなからず漏れることがよくあります。
そんなエアコンにとって重要な冷媒ガスの量を簡単にチェックする方法があるので、ここでご紹介します。
それはエンジンルームにあるサイトグラスという所から目視により確認することです。
ここで注意点ですがこの方法はあくまで目安です。また、最近の車ではこのサイトグラス自体がついていない車輌も多くあります。
方法は、まずエアコンを起動させます。起動して少し時間を置いたら、そのサイトグラスをチェックします。以下写真がサイトグラスです。
グラスの中に透明な液体が流動しているのが見え、ところどころ気泡が混じっている状態であれば適正です。
逆に気泡だらけの場合は、ガス漏れしている可能性が多いに考えられます。
繰り返しですが、この方法はあくまで目安でのガス量チェックの方法です。
続いては、もっと物理的な方法です。上記で説明したエアコン経路の中でも、低圧状態のガスが通過するホースを直接手で触るという確認方法です。この時最も注意すべきことが絶対に高圧ホースを触らないことです。説明した通り、エアコンシステムでは低圧低温のガスが通るホースと、コンプレッサーによって圧縮され高圧高温になったガスが通るホースがあります。高圧状態のガスは80℃近くある場合もあるので大変高温で危険です。必要に応じて手袋なども着用しましょう。
写真が低圧ホースです。Lというキャップがあればそのホースは低圧ホースです。
氷の入ったグラスに水滴がつくように、この低圧ホースに水滴がついてればそれもホースが冷えている証拠です。もちろん単純に低圧ホースを手で触り、ホースが冷えていればガスは正常に冷えているということです。逆に冷えていなければ、ガス量が足りないかガス冷却の機能が正常に行われていない証拠です。エアコンは間違いなく不調状態です。
こちらのホースを直接触る方法もあくまで、冷媒ガスチェックの目安になります。
正確なガス量チェックにはなりませんので、ご注意下さい。
まず、エアコンが効かない!と気付いたら、誰でも即座にチェックできる方法として、上記の2種類の方法をご紹介しました。
もちろん正確に冷媒ガス量を計れるツールもありますが、この2種類の方法でもひとまず大まかな冷媒ガスの状況を確認できる判断材料にはなると思います。是非試してみてください。
まとめ
今回は車のエアコン回りに関してご紹介しました。
車の本来の目的“走る”ということには直接的に関係はないものの、安全に快適に移動するのが現代の車に求められる命題です。
そう考えると四季によって寒暖の差が激しい日本という環境では、エアコンの担う役割はかなり高いと言えます。
みなさんも是非、これを機会に自身の車のエアコン状態を見直してみるのも良いと思います。
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