発端はカーシェア中のエスティマの故障
私は友人から格安で購入したエスティマを個人間カーシェアリングサービスで貸し出すことで運用しています。詳しい方法やこれまでの結果については、こちらで別途レポートさせていただいております。
そんなエスティマもシェア開始から1年半で約6万kmを走破し、そろそろ交換かと思っていた矢先の出来事です。
シェア中にエンジンルームとマフラーから白煙を上げて止まってしまったとの連絡を受けました。カーシェア中は強制加入の保険に付帯しているロードサービスを利用して出先から私が懇意にしている整備工場まで運んでもらいました。
車の故障への対応についてはこちらで詳しく解説させて戴ております。
到着した車を見るとラジエータの中に冷却水が入っていなかったので、経年劣化による何らかの破損で水が漏れたため、エンジンがオーバーヒートしたことは明らかでした。
通常なら一度冷えてしまえば、熱で膨張したエンジンが元に戻り始動することが可能なのですが、このときはセルは回るものの始動しませんでした。その後の詳しい調査で、ラジエータ本体とホースの接合部分が錆で折れ、そこから冷却水が漏れだしたこと、冷却水がなくなってからそれなりの距離を走行したことにより、エンジンヘッドが歪みガスケットが抜けてしまい、もう元には戻らないことがわかりました。
故障悪化の原因がドライバーにもあるのではとの意見もありますが、それはまた別の機会にお話するとして、取り急ぎ修理か廃車か決めなくてはいけません
廃車の決断!
修理か廃車か決断をくだすためのプロセスは案外明確です。修理費用の最安値を見積もり、市場価値と比較することで納得がいくと思います。
今回の場合修理にかかる費用は概算で以下でした。
どうしてもエンジンとラジエータの脱着工賃がかかるため、これ以上安く上げることは不可能でしょう。(アメリカなら自宅ガレージで気長にエンジン交換しちゃう人とかいそうですが。)
・中古エンジン:6万円(状態不明、輸送料込)・中古ラジエータ:3万円(状態不明)・エンジン脱着工賃:15万円(24時間程度の想定、時間単金6000円)
・その他パーツ:5万円(ホース類や油脂類等の消耗部品)
合計29万円となります。少しでも重要パーツの再使用不可等の不測の事態があれば、パーツ代も工賃もどんどん積みあがっていきます。
一方の市場価値ですが、インターネットで検索してみた限りですと、以下の結果でした。
車検残をベースに調べましたが、今回のエスティマの内外装の状態が決していいとは言えないだけにこの価格をさらに下回る可能性もあります。
・中古車販売店の買取相場:5~10万円
もはや車としての価値はなく、車検の残りに対する費用のみとみなされています。
15万円の価値があるかどうかの車に2倍にあたる30万円の修理費をかけるわけにはいきません。
廃車という手続き
廃車が決定したところで、廃車という手続きが自動車にとってどのような位置づけになるのか念のため振り返りましょう。
廃車の手順としては、
- 一時抹消手続き(ナンバーの返納)
- 自賠責保険料の返礼手続き
- 解体後解体証明の発行
- 永久抹消手続き
- 自動車重量税の還付
要するに、廃車とは自動車を実際に解体し、永久に登録抹消してしまうことを指します。
自動車税
一時抹消登録手続きを実施した際に、毎年5月に支払っている自動車税の還付が発生します。
還付の対象となるのは、手続きの翌月から年度末までの月割り分です。
例えば、8月に手続きを行なった場合は、翌9月から年度末までの月数が7ヶ月となりますので、自動車税納付額(排気量による)÷12×7が還付金のおおよその金額です。
地方税のため管轄している地方によって還付方法が異なりますが、特段の手続きなく還付されることがほとんどです。
自賠責保険料
自賠責保険料についても、一時抹消登録手続きを実施することで返戻金が発生します。
返戻金は抹消登録後、保険会社への解約申請を実施することによりその日から満了までの期間で算出されます。解約手続きは、陸運支局ではなく加入している保険会社で行なうことになりますのでご注意ください。
自動車重量税
解体届出手続き後に永久抹消登録が完了して初めて還付申請を行なうことができます。そして、手続き後から手元にお金が入るまでに約3か月程度要します。お国のやることは徴収は早いが還付は遅いです。
申請手続きを行った日から車検残りの月数分還付を受けることができます。
自動車税とは異なり、永久抹消登録手続きをしても自動車重量税還付申請を行なわないと自動では還付されませんので注意が必要です。
廃車の意味が分かったところで、改めて実際に廃車作業に入っていきましょう。
廃車業者各社の対応の違いや個人で手続きを実施した場合との比較など、廃車を検討中ではない方にとっても車というものを正しく捉える上で必見です。
廃車の持つ価値のとらえ方
やり方によっては損をするどころかお得になることもありますので、廃車が決定したことにより落胆する気分を抑えて、なんとか被害を最小限にとどめる努力をしましょう。
おそらく、ここからの内容はみなさまに驚いていただけると自負しています。
なぜなら、わかっている気になっていた私ですら驚いたのですから・・・。
さて、馴染みの整備工場でも廃車にすることは可能だったのですが、手を煩わせるのが嫌だったことと、決してお得ではないと胸を張って言われたので(笑)遠慮しておきました。
そこで、いつくかの方法を試してみました。
量販店での廃車
某大手カー用品店に出向き、「かろうじてエンジンはかかるものの使用できないエスティマを廃車にしたい」と伝えました。
担当者が出てきて、ゼロ円廃車が可能だとのことです。
車の価値はゼロとみて、解体手続きはリサイクル預託金が使えるし、こちらは税金の還付や返礼手続きを実施すればいいだけと理解しました。
ところが、車はゼロ円だが手数料が16,200円必要と言うのです。その上、さらに解体業者が忙しく解体完了までに3か月を要するとのことです。
もちろん、その3か月分は自動車重量税の還付が受けられなくなってしまいます。
こんな損な話は聞いたことがありません。
廃車.com
インターネットで調べたところ、夜23時まで電話対応可能とあったので、早速思いついたその場(22時)で電話してみました。翌日を待たずに電話できるのは嬉しいですね。
電話で車についての詳細を伝えたところ、明日朝に地域の提携店から連絡させるとのことでした。
どうやらフランチャイズ形態を採用しているようです。夜に電話がつながる意味はあまりなさそうです。
翌朝9時に埼玉県にある廃車業者から電話がありました。
ローダーによる引き取りで25,000円、持ち込みで30,000円を車両本体に対して支払ってくれるとの結果でした。16,200円のマイナスから30,000円のプラスということで、46,200円の差がつきました。量販店の対応から大きく前進です。!
自賠責の返礼と重量税の還付手続きは自身で行う必要があるとのことでしたが、すぐに解体証明を発行してもらえるので重量税の損もありません。
ここでのワンポイントアドバイス!
車両持ち込みと言っても何も自走で行く必要はないのです。加入しているJAFや保険付帯のロードサービスを使えば無料で持ち込めるので、さらに5,000円お得です。
廃車王
いかにもありがちな名前ではありますが、実は中古車売買とは真逆で廃車の場合は大手であることに価値があるのです。
ここに関しては、電話対応時間が終了していたので、見積もり依頼フォームに必要事項を記入し送信しておきました。
翌朝早速電話がありました。
なんと「4万円でいかがでしょうか?」と、思わず税金の還付を入れてですか?と聞き返してしまいました。もちろん車両本体で4万円、現車をみてこれ以上、上がることはあっても下がることはないとのことです。
さらに、「ローダー引き取り無料、還付や返礼金については引き取り3日後に建て替え払い!」というのには驚きました。
一時抹消の際に同時に名義変更を実施する“移転抹消”という手続きが存在するのですが、それを応用していると思われます。
還付や返礼を後々確実に自社で受けることができるからこそ、お客様には先に建て替えて支払っておくことで喜ばせようという企業努力が感じられます。
この業者は埼玉県にある独立した廃車大手業者で、冒頭でも少しお話ししたように廃車の場合は大手であることにメリットがあります。
なぜなら、買い取った後の車をパーツとして販売するためには幅広い車種とボリュームが必要になるからです。それらを兼ね備えることで販路が拡大でき、単価があがるのです。数車種分の部品しかもっていない業者にわざわざ注文したりしませんからね
個人で手続きをした場合
これまでは、時間があるなら個人で手続きをした方が確実に早期に還付を受け取ることができるためメリットがあるとお伝えしていたのですが、残念ながら負けのようです。
ローダーで引き取ってくれる上に建て替え払いで3日で振り込まれたのでは、とても太刀打ちできません。
さすがは“王”を名乗るだけのことはありそうです。最低条件とは6万円以上の差ができてしまいました。
ただし、私が言いたかったのは「廃車を考えるならば廃車王が良いですよ」ということではなく、どこの対応も同じだろうと決めつけずに、「複数の業者をあたってみて条件をよく比較した上で決定しましょう」ということです。
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