
まずは、都市部や女性にも取り回しが楽で、ちょっとした雪道や悪路でも走行可能なコンパクトSUVについて見ていきたいと思います。
アウディQ2
プレミアムSUVの火付け役ポルシェ カイエンを要するアウディフォルクスワーゲングループからは、これまでと全く異なるコンセプトでみんなを驚かせたアウディQ2を紹介します。
アウディ「Q2」は登場して1年ほど経ちましたが、販売は好調です。なにしろ、これまでプレミアム路線を貫いてきたアウディからすると信じられないような価格帯とカジュアルさで登場したのです。もちろん、品質や質感はプレミアムカーアウディ譲りですので、人気が出ないわけがありません。
コンセプト
まずはその佇まいから感じとれるテーマは、「コンパクトだからこそのファン・ドライブ」や「エントリーモデルだからといって一切の妥協はない」といった印象です。さすがに、アウディが”プレミアムコンパクト”を名乗るだけのことはあります。
実用性
SUVの前にコンパクトと付くわけですから実用性に優れていないはずがありません。
特に、道が狭く交通量の多い都会での利便性に長けています。全幅が1795mm、全高が1500mmと都会にありがちな機械式駐車場などでも難なくクリアできます。また、普通のコンパクトカーとは異なる高めの着座位置により視界がよく運転手を選びません。
シャシーは先に発売された新型A3が初採用となる「MQB(Modulare Quer Baukasten)」といわれる最新のプラットフォームです。
駆動方式が日本導入モデル全車前二輪駆動となっており、アウディ自慢の全輪駆動システム「クワトロ」の採用は見送られています。これは、コンパクトなQ2ならではの軽快感を損なわないために、あえて複雑な機構を除く決断をした結果だと思われます。その効果は、クイックなノーズの入りからくる軽快なハンドリングや軽量化による駆動ロス低減や燃費向上に現れています。
デザイン
これまでのアウディとは一線を画するコンセプトはデザインにもっとも現れています。
「ポリゴンデザイン」というコンセプトのもと、平面や直線を多用したデザインとなっており、従来のアウディにみられた丸みを帯びたスタイルとは異なり近代的な印象が演出されています。
特に、直線が強調されたバンパーやフロントグリル、サイドドア周囲のプレスラインは陰影がハッキリとしたフォルムとなっています。
また、デザイン上の面白い試みがされています。リヤウインドウ後部Cピラー部分が別体パネルとなっていて、オーナーの好みでカラーを変更できます。カジュアルさを増すユニークなアイデアです。これは、確かな中身や貫かれたコンセプトがあるメーカーだからこそ活きることで、ありふれたメーカーが単に真似をすると途端にチープになり従来のユーザが離れてしまいます。
ディーラー営業マンに販売状況を尋ねてみると、やはり、従来のアウディ車からの乗り換えも含め、若い男女の顧客層が目立つとのことでした。見事にマーケティングにもマッチしたコンセプトだと言えます。
装備
若者もターゲットにした攻めた価格帯でありながら、安全装備や品質は上級シリーズと遜色のない仕上がりです。その気になれば、先進のレーダー技術を利用したアクティブセーフティや前車追尾のオートクルーズ、車線保持機能を持ったステアリングアシストなどを選ぶことまで可能です。
内装も素材や各スイッチ・レバーの質感・操作感など手は抜かれていません。ただ、どのグレードにもパワーシートの選択が無いのは他メーカーと比較すると割り切りが必要かもしれません。
最新モデルならではの装備として、アウディ最新のバーチャルコックピットの搭載が可能となっています。
運転席のメーター内が12.3インチのフルカラーディスプレイになっていて通常のスピードやタコメーターの他に様々な情報を表示させる事ができます。抜群の視認性のおかげでストレスが無いのはもちろん、ただのメーターとは言えない大きな存在感です。
例えば、センターコンソールにあるメインのディスプレイでは乗員がTVなどのマルチメディアを楽しんでいても、ドライバーはバーチャルコックピットでナビを確認しながら運転する事もできます。この装備は現時点で上位モデルであるQ3にも搭載されていないのであえてQ2を選ぶ際のアドバンテージになるかもしれません。
コンセプトに忠実なデザインでいてここまで実用性や装備が充実しているともはや言うことなしの感があります。
引き続き気になるスペックを見てみたいと思います。
スペック
日本に導入されているグレードは次の3つです。1リッターと1.4リッターの排気量から選択でき、さらに1リッターモデルはいろいろなオプションが極限まで省略されたベースモデルもラインナップされています。個人的にはこういう心使いは大好きです。
- Q2 1.0 TFSI
- Q2 1.0 TFSI sport
- Q2 1.4 TFSI cylinder on demand sport
ベースグレードである「1.0 TFSI」は、必要最低限の装備となっているためバーチャルコックピットが設定できないなど制限が設けられています。何がなくてもバーチャルコックピットだけは欲しいという方にとっては非常に残念ですが、少数派と言われてもしかたありませんね。そして、確かについついオプションを追加してしまうとベースの良さがなくなり、あっという間に上位グレードsportの価格に並んでしまいます。しかし、299万円からという値段設定は、装備を省略しているからこその運転の軽快さとそのコンセプトを手軽に味わいたいのなら積極的におすすめしたい選択肢です。
全長×全幅×全高:4,200mm×1,795mm×1,500mm
ホイールベース:2,595mm
車重:1,310~1,360kg
トランク容量:405L
乗車定員:5
○パワートレイン
・1.0 TFSI
エンジン形式:999cc直列3気筒直噴ガソリンエンジン+ターボ
最大出力:85kW(116ps)/5,000-5,500rpm
最大トルク:200Nm(20.4kgm)2,000-3,500rpm
JC08モード燃費:19.8km/l
・1.4 TFSI
エンジン形式:1,394cc直列4気筒直噴ガソリンエンジン+ターボ(シリンダーオンデマンド)
最大出力:110kW(150ps)
最大トルク:250Nm(25.5kgm)
JC08モード燃費:17.9km/l
○その他
駆動方式:FWD
最小回転半径:5.1m
フロントサスペンション:マクファーソンストラット
リアサスペンション:トレーリングアーム
トランスミッション:7速AT
確かにリッターカーということでエンジンは非力に感じるかもしれません。しかし、最新のダウンサイジングターボ化技術の力強いトルクと高効率なトランスミッションのおかげで、必要にして十分な出力が得られていることを感じていただけると思います。
新プラットフォームによる軽量シャシー(Q3比100kg以上軽量)とFWDの軽快さは、正にQ2のコンセプト通り。試乗してみて、「日常の移動と考えればこのパワーで十分じゃないか!」と驚かされました。
そして、更に余裕の巡航をもたらす1.4リッターエンジンですが、パワーはもちろんの事、グレード名にある「シリンダーオンデマンド」の通り、低負荷時には4気筒のうち2気筒のみで燃焼する事で燃費との両立に成功しています。
まとめ
前述した通りグレードにより装備できるオプションに差はあるものの、何れを選んでもオーナーの期待が裏切られることはないはずです。
手頃な価格帯の車にも関わらず上位車種と比較しても不満なく高級感を味わえる内容。1.4リッターモデルに至っては400万円を超える価格設定となっており廉価グレードに比べると割高感はあるものの、価格相応の「プレミアム」は整っています。
これまでアウディSUVのイメージを培ってきた上で、更に、まったく新しいコンセプトで市場に価値を訴え、存在感を発揮しています。

メルセデス・ベンツ GLA
ジャパニーズカルチャーとして世界で認知されているあのマリオとも共演したことで話題となったメルセデス・ベンツの切り札的コンパクトSUV、GLAを紹介させていただきます。
GLAは、2014年5月にラインナップ中で最もコンパクトなSUVとしてメルセデス・ベンツに加わりました。GL兄弟(GLS、GLE、GLC、GLA)の末弟にあたります。
「どんな場所でも軽快に走り、老若男女問わず幅広い人に愛される」という共通点から、発売当初のCMには任天堂の人気キャラクターであるマリオを起用したことで話題になりました。2017年4月にはマイナーチェンジを果たし、現在の姿に生まれ変わります。
洗練されたデザイン
GLAはメルセデス・ベンツのコンパクトカーAクラスをベースとしていますが、外装のデザインはよりボリュームを増しておりAクラスよりもかなり力強い印象を受けます。
「パンチドグリル」と呼ばれるメルセデス・ベンツのSUVを象徴するフロントデザインや、リアコンビネーションランプには上位モデルのEクラスにも使われている「クリスタルルック」が採用されるなど、他のモデルに全く引けを取らないデザインが与えられています。
ボディーサイズは全長×全幅×全高=4430×1805×1510mmとSUVの割には低く抑えられているため、都内の機械式駐車場にも気軽に入庫できます。
ホイールベースは2700mmとSUVとしては少し長めで、サイドから見るとクーペに近い流麗なデザインを持ちます。
メルセデス・ベンツには長年にわたりGクラスで培ってきたオフロード技術があります。コンパクトなSUVであるGLAにももちろん受け継がれています。
引き続き気になるオフロード性能やスペックを見てみたいと思います。
長年培ったオフロード技術
日本でメルセデス・ベンツと言えば高級セダンと思われがちですが、実は、SUV開発の歴史は1979年「Gクラス」の登場から39年以上にもなります。その伝統的なオフロード技術はコンパクトなGLAにも凝縮されているのです。
GLAには「GLA180」、「GLA220 4MATIC」、「GLA250 4MATIC」、「Mercedes-AMG GLA45 4MATIC」と4つのグレードがあり、「GLA180」以外の全グレードに4MATICというメルセデス・ベンツ独自の四輪駆動システムが採用されています。
4MATICとは可変トルク分配型四輪駆動システムのことで、雪道やオフロードでは路面状況に合わせて四輪に自動でトルク配分を行うことができ、高い操縦安定性を確保します。また、オンロードでもコーナリング時に積極的に後輪にトルクが配分されることで、高い旋回速度を維持することが可能となります。他にも、急勾配を下る際にアクセルとブレーキを自動調整して一定の速度を保つDSR(ダウンヒル・スピード・レギュレーション)を4MATICに採用しており、ステアリング操作に集中させてくれます。
最先端の安全技術を装備
GLAはメルセデス・ベンツのSUVモデルの中ではエントリーモデルとされていますが、その全グレードに最先端の安全技術が用意されています。
例えば、
- リアバンパー左右に埋め込まれたセンサーにより、死角に車両がいることをドアミラー内蔵のインジケーターで知らせる「ブラインドスポットアシスト」。
- レーダーセンサーにより先行車を認識して、速度に応じた車間距離を適切にキープする「ディスタンスパイロット・ディストロニック」。
- 長時間の走行時にドライバーの疲労や眠気を70以上パラメーターで検知して教えてくれる「アテンションアシスト」など、この他にも様々な安全技術が組み込まれています。
スペック
GLAは2つのパワートレインで3つのバリエーションから選択することが可能です。また、これらで物足りないカスタマーのために過激なメルセデスAMGモデルも用意されています。
ここでは、通常のメルセデスモデルについて見ていきましょう。
全長×全幅×全高:4,430mm×1,805mm×1,505mm
ホイールベース:2,700mm
車両重量:1,480~1,600kg
トランク容量:420~1,235L
乗車定員:5人
○パワートレイン
・GLA180
エンジン形式:1,595cc直列4気筒ガソリンエンジン+ターボチャージャー
最高出力:90kW(122PS)/ 5,000rpm
最大トルク:200Nm/1,250-4,000rpm
・GLA220 4MATIC
エンジン形式:1,991cc直列4気筒ガソリンエンジン+スーパーチャージャー
最高出力:135kW(184PS)/ 5,500rpm
最大トルク:300Nm/1,200-4,000rpm
・GLA250 4MATIC
エンジン形式:1,991cc直列4気筒ガソリンエンジン+スーパーチャージャー
最高出力:155kW(211PS)/ 5,500rpm
最大トルク:350Nm/1,200-4,000rpm
○トランスミッションその他
駆動方式:GLA180のみ前2輪駆動、他はすべて4WD
トランスミッション:7速AT
JC08モード燃費:16.0、13.1、14.0km/l
フロントサスペンション:マクファーソンストラット
リヤサスペンション:4リンク
最小回転半径:5.7m
まとめ
最も安価なグレードである「GLA180」はメーカー希望小売価格が406万円です。
伝統と革新のメルセデスブランドで、これだけ優れたデザインや多くの実用的装備を搭載していて400万円台前半というのはお買得に感じます。

ジープ・コンパス
アウディ→メルセデスと、どうしても欧州勢に目が行きがちですが、ここで別のアプローチからコンパクトSUVを作るアメリカ車ジープをみてみたいと思います。

しかし、現在では時代の流れに合ったコンパクトなモデルも登場し、存在感を増しています。そんなジープのコンパクトSUVとして2017年12月にフルモデルチェンジを果たしたのが「コンパス」です。
伝統的デザイン
コンパスはジープのモデルの中で、エントリーモデルの「レネゲード」より大きく、「チェロキー」より小さい中核をなすSUVとして位置づけられています。

一番の特徴はフロントのデザインです。
7スロットルグリルやクラブシェルタイプのボンネットフードを採用することで、ジープのフラッグシップモデルである「グランドチェロキー」のデザインを踏襲していることをアピールしています。また、台形ホイールアーチを採用することで、硬派なジープの印象が引き立っています。

引き続き気になる中身を見てみたいと思います。
街乗りに順応したモデル
ボディサイズは全長×全幅×全高=4400×1810×1640mmと決して小さいとは言い難いですが、都会でも困らない程度のサイズ感です。
これまでのレネゲードではアウトドアに出かけると少しスペースに物足りなさを覚えたり、チェロキーで街乗りをすると駐車場所を選んでしまうという人も、コンパスのサイズであれば両方の良いとこ取りが実現できます。
積載性に関しては、ラゲッジルームの床の高さを三段階で調整できたり、助手席の下に収納スペースがあったりと実用的な工夫が凝らされています。
信頼できる安全性能
コンパスには多くの安全装備や運転支援機能などの先進技術が標準装備されています。
- 他の車両に急接近した際に警告をし、ドライバーの反応が無ければ短めのブレーキにより危険を知らせる「クラッシュミティゲーション付き前面衝突警報」。
- 運転手の死角に車両などの物体が入ってきた際にドアミラー上のアイコンが点灯し警告音で知らせる「ブラインドスポットモニター/リアクロスパスディテクション」。
- 縦列駐車などを簡単にできるよう、センサーが作動しステアリングを自動的にコントロールするアクティブガイダンスシステム付き「ParkSense縦列/並列パークアシスト」。
スペック
コンパスには3つのグレードがあり、希望小売価格の安い順に「Sport」323万円、「Longitude」351万円、「Limited」419万円となっており、「Sport」、「Longitude」の駆動方式はFFで6速AT、「Limited」は四輪駆動で9速ATとなっています。
グレードはわかれているもののパワートレインは2.4リッターの自然吸気ガソリンエンジン一択です。ダウンサイジングターボ全盛の時代において自然吸気エンジンのみというのはにわかには信じがたいですが、潔さには好感が持てます。
また、アメ車にもかかわらず燃料がレギュラーガソリンであるという点は距離を多く走るユーザには嬉しいポイントです。
全長×全幅×全高:4,400mm×1,810mm×1,640mm
ホイールベース:2,635mm
車両重量:1,490(サンルーフ付きは1,600)kg
乗車定員:5人
○パワートレイン
エンジン形式:2,359cc直列4気筒ガソリンエンジン
最高出力:129kW(175PS)/ 6,400rpm
最大トルク:229Nm/3,900rpm
○トランスミッションその他
駆動方式:前2輪駆動、4輪駆動
トランスミッション:6速 or 9速AT
JC08モード燃費:11.9(サンルーフ付きは9.6)km/l
フロントサスペンション:マクファーソン式
リヤサスペンション:マクファーソン式
最小回転半径:5.7m
まとめ
世界的に激化しているSUV競争の中でジープ コンパスのもつ個性はライバルを一歩リードしています。
コンパス最大の魅力は、何と言ってもコンパクトでも「ジープ」を持つ所有欲を満たせることです。
デザインでは「グランドチェロキー」に似せることで伝統を感じさせ、安全装備にはジープの先進技術を採用することで革新を感じることができます。

ボルボXC60
コンパクトSUVを語る上で今年はこの車を外すことは不可能でしょう。
ボルボXC60が日本カー・オブ・ザ・イヤーまで受賞しました。(輸入車が受賞するのは2度目の快挙です。)そんな勢いに乗るXC60がどこまで本物志向なのかをみてみたいと思います。
概要
ボルボはXC90を起点として全く新しいメーカーに生まれ変わったといっても過言ではありません。
実は、近年巨額の資金を投じて新たなプラットフォームをゼロから設計し、先進の安全装備についてもドイツのライバル勢を追い越す勢いです。従来から定評のあったワゴンを中心にセダン化タイプ、クロスオーバーやコンパクトSUVなど多彩なラインナップを戦略的に矢継ぎ早に市場に投入してきました。
これだけ短期間に多車種を開発したにも関わらず、内外装のクオリティは凄まじくハイレベルな仕上がりで、流石にこれまでドイツ車派だったカスタマー達も黙って無視することはできず、徐々に乗換も増加しています。
デザイン
XC60のデザインはスポーティな側面が目立ちます。ドイツともアメリカとも異なるスカンジナビアらしい上品でスタイリッシュなデザインには、まだこういう方向性もあったかと驚かされます。
内装に目を向けると、XC60は上位のXC90譲りとなる北欧らしい上質で品のいいインテリアにまとまっています。特に、革の質感についても、ドイツやイタリアとは全く異なっており、非常に手触りがよく新しく感じます。機能としても中央に配置されたマルチディスプレイがスマートフォンのような操作感で初めてでも戸惑いません。

引き続き気になるスペックを見てみたいと思います。
スペック
XC60にはディーゼルからPHVまで多種多様なパワートレインに応じて4つのグレードが準備されています。
特に、ディーゼルのトルクフルな走りと燃費の両立は素晴らしく、また、PHVの前後独立したモーターによる圧倒的な走破性も捨てがたく、選ぶのが中々難しそうです。
全長×全幅×全高:4,690mm×1,900、1,915mm×1,660mm
ホイールベース:2,865mm
車両重量:1,830~2,170kg
トランク容量:495~1455L
最低地上高:215mm
乗車定員:5人
○パワートレイン
・D4
エンジン形式:1,968cc直列4気筒ディーゼル+ターボチャージャー
最高出力:140kW(190PS)/4,250rpm
最大トルク:400Nm/1,750-2,500rpm
・T5
エンジン形式:1,968cc直列4気筒ガソリンエンジン+ターボチャージャー
最高出力:187kW(254PS)/5,500rpm
最大トルク:350Nm/1,500-4,800rpm
・T6
エンジン形式:1,968cc直列4気筒ガソリンエンジン+スーパーチャージャー+ターボチャージャー
最高出力:235kW(320PS)/5,700rpm
最大トルク:400Nm/2,200-5,400rpm
・T8
エンジン形式:1,968cc直列4気筒ガソリンエンジン+スーパーチャージャー+ターボチャージャー+電気モーター
最高出力:233kW(318PS)/6,000rpm + 電動機:前34kW、後65kW
最大トルク:400Nm/2,200-5,400rpm + 電動機:前140Nm、後260Nm
○トランスミッションその他
駆動方式:電子制御AWD
トランスミッション:8速ギアトロニックトランスミッション
JC08モード燃費:(T5)12.9、(T6)12.5、(T8)17.3km/l
フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン
リヤサスペンション:マルチリンク
最小回転半径:5.7m
まとめ
ドイツでもない、アメリカでもない第三の選択肢として十分な価値を示したボルボ。いよいよ目覚めたスカンジナビアにこれからも目が離せません。
BMW X3
再びドイツ勢に戻ってみたいと思います。アウディ、メルセデスを紹介してこちらを出さないわけには行きません。2017年にフルモデルチェンジを果たし3世代目と熟成の域に達したBMW X3です。
デザイン
X5の大成功を受けて登場したのがこのX3です。従って、デザインや装備の随所にX5の面影が見え隠れしています。もちろん、X5は上位車種ですので、悪いことではありませんが、個人的にはもう少しアウディQ2のような遊び心があってもよかったのかなと感じます。
先代に比べると、
- 他のモデル同様に最近のBMWのトレンドに従ってキドニーグリルが大型化されています。
- 全てのライトがついにLEDとなり、特にテールライトには3Dルックと呼ばれる立体的造形がオプションで用意されています。
- 空気抵抗を示すCd値は0.29と、全面投影面積がどうしても大きくなりがちなSUVにあっては優秀な数値となっています。
- ボディサイズは先代とほぼ同じプロポーションを維持しており、この当たりが安易に流行にながされないBMWの良さだと実感。
- いかにも高性能なエンジンを搭載しそうな長いボンネットに、段差のクリアを容易にする短いオーバーハングでスポーツカーと実用車の両方の特徴が見て取れます。
- 室内に目を向けると、インテリアはいかにもBMWといった伝統的デザインで、安心感や使い勝手はいいものの少々目新しさに欠けます。
実用性
荷室容量は550リットルとまずまずのサイズ。後部座席が3分割されており、倒すことで最大1600リットルに拡大可能。
ウインドスクリーンの改良により、静粛性が引き上げられているおかげで、このクラスにしてはロードノイズが小さく感じます。
フロントシートはあくまでもスポーティにふられており、大柄な人やゆったり座りたい人には少々窮屈に感じるかも知れません。ただし、高速道路などをそれなりのペースで走り出せば、すぐにタイトさの意味を知ることになるでしょう。
走行性能
他のセダンやクーペモデルと比べてしまうと確かに動きだしこそ重く感じてしまいますが、一度走り出せば“駆け抜ける喜び”が見事にさく裂します。
コーナー侵入時の鼻先の入り、旋回時の安定感どちらも申し分ない仕上がりで、SUVだということをついつい忘れてしまいます。他社の同セグメントの車と比較すると、圧倒的にスポーツ志向に振っていることがわかります。少し腰高な車高を持ったスポーツカーと理解していただいて問題ありません。
今回試せてはいないのですが、オンロードがここまで素晴らしいとオフロードを全く意識していないのではないかと心配になってしまいます。
確かに、xdriveと呼ばれる四輪駆動システムを有しているものの、アウディのクアトロやメルセデスの4MATICと比べると実績に乏しくアピールには欠けています。
個人的にはいっそのこと思い切って四輪駆動ではなく、軽量な後輪駆動で乗りたいと思ってしまいます。もちろんSUVだけにそれでは本末転倒もいいところですが。

引き続き気になるスペックを見てみたいと思います。
スペック
グレードは、ほぼ同じ排気量を持つディーゼルとガソリンの2つとなっています。
どちらもさすがはエンジン屋さんBMWだと感心させられるできですが、中でも重量のあるSUVにはトルクフルなディーゼルターボが相性抜群です。低回転から湧き上がる最大トルクで重い車体をものともせずグイグイ前に進めていく感触は爽快そのものです。実用性の面でもディーゼルの低燃費が際立っています。
全長×全幅×全高:4,720mm×1,890mm×1,675mm
ホイールベース:2,865mm
車両重量:1,860~1,890kg
トランク容量: 550~1600L
最低地上高:205mm
乗車定員:5
○パワートレイン
・xDrive20d
エンジン形式:1,995cc直列4気筒ディーゼルエンジン+ターボチャージャー
最高出力:140kW(190PS)/ 4,000rpm
最大トルク:400Nm/1,500~3,000rpm
・xDrive20i
エンジン形式:1,997cc直列4気筒ガソリンエンジン+ターボチャージャー
最高出力:135kW(184PS)/ 5,000rpm
最大トルク:290Nm/1,350~4,600rpm
○トランスミッションその他
駆動方式:四輪駆動
トランスミッション:8速AT
JC08モード燃費:(20d)17.0、(20i)13.5km/l
フロントサスペンション:マクファーソンストラット
リヤサスペンション:マルチリンク
最小回転半径:5.7m
まとめ
ここまで紹介した各社の自信作の中でも走りの質感や楽しさという点ではX3は大きなアドバンテージを持っているといってもよいでしょう。ただし、オフロードが得意かどうかは未知数ですが。
ルノー カジャー
いよいよフランス車の登場です。独創的フレンチデザインで定評のあるルノーの最新コンパクトSUVカジャー。

概要
いかにもフレンチといったお洒落なデザインで可愛くも力強くも見えます。最大の特徴はやはりデザインではあるものの、独特な装備も要チェック。
常に外気の状態をモニターして汚れ具合を3段階に色で表示し、フィルターによって臭気や微粒子などが車内に入らないようガード、外気が汚れている場合は自動的に外気導入から内気循環に切り替える「エアクオリティコントロール」を備えています。これは女性や乳幼児がいる家庭にとっては嬉しい気配りではないでしょうか。
カジャーという響きが聞きなれないですが、それもそのはず。車名の由来は、quad(4つの)に由来するKADに、フランス語の「Agile(機敏な)」「jaillir(噴き出す)」に由来する「JAR」を組み合わせた造語だそうです。
スペック
パワートレインは1.2リッターの排気量を持つターボエンジンの一択です。
出力特性的にはアウディQ2の1リッターモデルと似ていそうです。SUVとしては車重が圧倒的に軽量なこともあり、必要にして十分と言えます。
日本版のスペックに未発表項目が多く、一概には言えませんが、燃費について本国仕様の発表値を元に算出すると約17km/Lとなりそうです。
全長×全幅×全高:4,455mm×1,835mm×1,610mm
ホイールベース:2,645mm
車両重量:1,410kg
トランク容量:527~1478L
最低地上高:200mm
乗車定員:5人
○パワートレイン
・インテンス
エンジン形式:1,197cc直列4気筒ガソリンエンジン+ターボチャージャー
最高出力:96kW(131PS)/ 5,500rpm
最大トルク:205Nm/2,000rpm
○トランスミッションその他
駆動方式:前二輪駆動
トランスミッション:7速AT
JC08モード燃費:-km/l
フロントサスペンション:-
リヤサスペンション:-
最小回転半径:-m
まとめ
BMW X3などの走る楽しさを追求したライバルと180度異なる方向性と言っても過言ではありません。
素晴らしいエンジンによる爽快感や豪華な内装によるプレミアム感はありませんが、その代り、デザインも性能の一部だと思わせるほどのファッション性があります。ただただ日常の傍らにこの車があるだけで、人生に彩が増える気がする。そんな一台です。

これからのSUVについて
当初は一過性の流行で終わると思われたSUV。全くとどまることを知らないどころか、モータージャーナリストの中でも最終的には全世界の車の8割がSUVになるという大胆な予測が出るほど。昨今の独自の進化を見ているとあながちオーバーにも聞こえません。
今回は、どちらかというと都会派と言える日常ユースのコンパクトSUVについて特集させていただきましたが、他にもミニバンも真っ青の居住空間を誇るLサイズSUVや本格的オフローダーSUVなど、もはや、SUVというカテゴリで収まりきらないほどの多種多様な進化を遂げようとしています。
SUV市場の活況には歴史や伝統をもっとも重んじてきたはずのベントレーやロールスロイスまでもが見過ごすことができず、英国皇室ご用達のスーパーラグジュアリーGTのアストンマーティンまでもが参入を表明しているほどです。

コメント