大流行中のダウンサイジングターボとは?具体的なメリット・デメリットを解説

最近の自動車ニュースにひっきりなしに登場する“ダウンサイジングターボ”あるいは“ダウンサイジングコンセプト”。言葉が一般化してきた今だからこそ、今更聞けない言葉の意味やその実態についてわかりやすく解説します。
特に、スーパーカーに多数乗り継いできた筆者だからこそ語れるハイエンドな車にも忍び寄る環境対応の側面からも切ってみたいと思います。

ダウンサイジングターボとは

ダウンサイジングターボとは、排ガス規制などの環境適応を果たすためにエンジンの排気量を下げつつも出力を維持するためにターボなどの加給器で補うことを意味します。

昔からターボはあったのになぜ最近になってにわかに流行りだしたのでしょうか?

 

以前のターボの特徴と言えば、小排気量のスポーツカーなどが出力を向上させる目的だけで使用しており、燃費が悪く出力特性も急なトルクの立ち上がりで扱いにくいというのが一般的でした。

それが、近年の燃料噴射や制御系の技術革新により、高効率で扱いやすい出力特性のターボを比較的安価に製造できるようになったからです。

 

あくまでも主目的を燃費向上においているため、ターボでの出力向上は最小限にとどめています。この最小限にとどめることが扱いやすさにとっても重要で、小径のタービンを使用し低回転から働かせることにより、レスポンスの悪化を最低限に留めることにもつながります。

 

ダウンサイジングターボの具体的なメリット

ダウンサイジングターボが最も威力を発揮できるのは巡航時です。

加速時にはターボにより十分な出力を得ることができ、巡航時には高出力は不要なので小排気量の特徴である低燃費が得られます。

この一粒で二度美味しい相反する二面性こそがダウンサイジングターボの一番のメリットです。

 

ダウンサイジングターボの具体的なデメリット

前述のデメリットをみてピンときた方は鋭いです。加速→巡航このサイクルが繰り返される、しかも巡航が長ければ長いほどお得なのは理解できます。

ということは、裏を返せば加速→ストップ→加速が繰り返されるような場面がもっとも苦手ということになります。

 

まさに日本の都市部は、ダウンサイジングターボにとって最も苦手とする分野なのです。

加速の際には大排気量の自然吸気エンジンと同じか、もしくは悪い燃費効率となってしまいます。

そのためストップアンドゴーを繰り返せば、ダウンサイジングターボの存在意義は完全に失われてしまうのです。これが、日本が欧州に比べてダウンサイジングターボの開発・普及が遅れている直接の原因です。

 

燃費以外のデメリット

ストップアンドゴーによる燃費の悪化以外にも以下のようなデメリットがあります。

  • レスポンスの悪化
  • エンジンの静寂性の低下

レスポンスの悪化

いくら小径のターボを使っても自然吸気と同等とはいきません。そして、スポーツカーにとってアクセルレスポンスは、運転の楽しさに直結する重要な要素です。私個人の見解としては、一ユーザーとしてダウンサイジングターボのスポーツカーを所有したいとは思いません。

 

エンジンの静寂性の低下

エンジンはV型12気筒がもっともバランスよく振動が少ないとされています。ダウンサイジングにより小型化することで気筒数が減り振動が大きくなってしまいます。

 

スーパーカーへの適用状況

燃費以外のデメリットをご理解いただければ、このコンセプトをスーパーカーに適用する不利益さ加減がおわかりいただけるかと思います。

それにも関わらず、最近のスーパーカーにもついにダウンサイジングの波が押し寄せています。





スーパーカーの代名詞であるフェラーリ!その主力となる最新型V8エンジン搭載2車種には、既にダウンサイジングターボが積まれてしまいました。

フロントにエンジンを搭載するGT的側面を持つCalifornia Tとミッドシップレイアウトで生粋のスポーツカーであるはずの488GTBです。

私はこの2台が発売されたときのお披露目で試乗する機会に恵まれましたが、2台ともに大きく魅力を失ってしまったというのが正直な感想です。

スーパーカーの中でもとりわけフェラーリはエンジン屋さんを出発点としており、“フェラーリの魂はエンジンにある” “エンジン運搬装置”とすら揶揄されるほどです。

これまで傑作といえる官能的高性能エンジンを世に送り出してきたフェラーリだからこそ、ここは時代の流れに乗らずに自然吸気による高性能を追い求めて欲しいと願っていたのですが、無念です。

とはいうものの、この488GTBに搭載されたTipoF154型と呼ばれる3,902 cc V型8気筒DOHCツインターボエンジンは2015年のワールドエンジンオブザ・イヤーも受賞しています。

あくまでも賛否両論あるものの、肯定派も確実に存在するということですので、私の感想は一意見として留めておいてください。


その他の車種への適用状況としては、F1コンストラクターとしてお馴染みのマクラーレンに関しては、近年リリースされたロードカーの全てにダウンサイジングターボが装着されています。

スーパースポーツとしてフェラーリと双璧をなすポルシェに関しても、911を含む全車種でダウンサイジングターボを採用すると公言しています。

“911カレラ”までターボ化されてしまうと“911ターボ”のネーミングはどうなるのか?と、見ているほうが心配になってしまいます。

 

まとめ

近年の高度に戦略化された車種展開の中では、スーパーカーですらも潮流に逆らうことはできません。むしろ技術力や環境適応力を示すための急先鋒として、率先して利用されている風潮すらあります。

そろそろ乗り手側もノスタルジーを脱ぎ捨てて、真摯な姿勢で環境に適応していかなければ置いていかれてしまうのかもしれません。

 

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