3月6日ジュネーヴモーターショーにてランボルギーニアウトモビリ社から、最新最強のオープンスーパースポーツとなるウラカン・ペルフォルマンテ・スパイダーが発表されました。
そして、スパイダーが日本に到着した際には改めて比較レポートをさせていただく予定です。
改めてウラカンについて
ペルフォルマンテを語る前に基本となるウラカンについておさらいしておきましょう。
ランボルギーニがアウディフォルクスワーゲン傘下になって、2003年に突如としてV10エンジンをミッドに搭載したベイビーランボが登場します。
それがウラカンの先代となるガヤルドです。
ガヤルドは2013年までの10年間で14,022台という、ランボルギーニとしては途方もない過去最高台数を売り上げる大ヒット商品となりました。
そんなガヤルドで開拓された小型(ランボルギーニにしては)2シーターのスーパースポーツラインの最新版がウラカンとなります。
お披露目は2014年のジュネーヴモーターショーで、ウラカンの名前は従来モデルの通り伝説的闘牛から名づけられました。スペイン語で“ハリケーン”を意味します。
モデル展開としては、ガヤルドとほぼ同様で以下の通りです。
- LP610-4
発売当時から存在している最もオーソドックスな四輪駆動モデル - LP610-4 スパイダー
2015年8月に追加されたオープントップモデル - LP580-2 RWD
二輪駆動モデル。
ガヤルドの頃は長年開発に携わってきたテストドライバーの名が冠されバレンティーノ・バルボーニの名称で販売。出力はLP610-4から引き下げされ580馬力となる。
通常モデルより安価な価格設定や二輪駆動の操る楽しさにより大人気。 - LP580-2 RWD スパイダー
二輪駆動のオープンモデル - LP620-2 スーパートロフェオ
ランボルギーニのワンメイクレースであるスーパートロフェオの規定に合わせて作られたカップ仕様車。
特別な軽量化やボディ補強が行われている。 - ペルフォルマンテ
ペルフォルマンテとは
2017年3月に行われたジュネーヴモーターショーでお披露目されたいわゆる速い版。
一番わかりやすくいうとフェラーリの360モデナに対するチャレンジストラダーレ、430に対するスクーデリア、話題の最新型488に対するピスタなどと同じ位置に分類されます。
外装やリアウイングをカーボン製にするなどの徹底的素材の軽量化により、標準車モデルより40kgのダイエットを達成。最高出力は30馬力増となる640馬力。
その結果、スーパースポーツの価値基準となるニュルブルクリンク北コースのタイムは驚異の6分52秒01をマーク、これはこの時点での市販車世界最高タイムとなります。
“ペルフォルマンテ”の名前の由来はイタリア語で言う“パフォーマンス”です。
試乗
その日は全く別件で、新型ベントレーコンチネンタルGTの内覧に来ていたのですが、ウラカン購入を迷っている友人が試乗するというので、便乗させていただきました。
まさか、最新最強のランボルギーニに試乗できるとは思っていなかったのでラッキーでした。
運転席というよりコックピットと呼んだ方がしっくりくる空間に潜り込み、カーボンシェルでガチガチの剛性感を誇るシートの着座位置を調整します。
いよいよエンジン始動の赤いボタンを押した瞬間、遠慮なく侵入する轟音と共にペルフォルマンテが目を覚まします。
こういった車を試乗するときには常に平常心でいることを心がけているのですが、それも徒労に終わります。
轟音と剛性、そして鮮やかな計器類によるあまりにも異質な空間に平常心は空の彼方へ、代わりに好奇心と闘争心と少しの恐怖が体を支配します。
右のパドルを軽く引きアクセルペダルに足を添えると、拍子抜けするほど軽く車が動き出します。
ドライビングモード切替スイッチであるANIMAのストラーダ(一番コンフォートなモード)を選択している限りは少々スパルタンながらも普通に走らせることが可能です。
しばらくは恐る恐るこのモードで走行し体を慣らしていきます。
慣れはしないですが、少し感覚をつかんだところでいよいよスポーツモードに入れてみます。
明らかにアイドリング時ですらマフラーの音量が上がり、威圧感を増します。戸愚呂弟でいう60%といったところでしょうか。
とにかくステアリングレスポンスがクイックで、思った場所に思った以上に鼻が切り込んでいきます。
何より驚いたのが、ストラーダ以上に扱いやすいことです。
これまで少々おっかなびっくりでギクシャクしていたのが、吹っ切れたように速度を上げれば上げるほど一体感と共に安定感が増すのがわかります。正直めちゃくちゃ気持ちいいです。
通常のウラカン以上に前後駆動配分がリニアに変化するのが伝わってきます。
最後にもうみなくてもいいかも知れないコルサ(レース)モードを選択します。
メーターパネルの配色がやけに赤が多くなり、アイドリング回転数が上昇、マフラー音量さらに大きく高く。
並みの妖怪なら気だけで消し飛んでしまう迫力です。
これまでの凄く速いランボルギーニであるという認識すら吹き飛ばしてしまいます。
レーシングライク過ぎて、最早何に乗っているのかも忘れ去り、とにかく車(特にアクセル)をコントロールすることに没頭してしまいます。
1速2速では本当に繊細なアクセルワークが求められます。
ハイレスポンス過ぎて路面のアンジュレーションですら足に伝わることで回転を大きく上下させてしまいます。
試乗を終えた直後の疑問、これまで勝手に感じてきたランボルギーニらしさってなんだったのだろうか?
そこにあるのは一台の優れた公道走行可能なレーシングカーでした。
フェラーリのスペシャルモデル以上にレーシング度合いは濃いです。
自然吸気エンジンそのものの生存が難しくなった今唯一無二の存在になり得るので、気になる方は手に入れておいて損はないでしょう。
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