
その後、逆に値下がりが予想される車についても紹介させていただく予定です。
極一部の限られた方にしか実生活で活かす事のできない話題ではありますが、車とはこうも奥の深いものなのかと感じていただければ幸いです。
私の仕事の一つに車のエージェント業がございます。
エージェントと言いましても多義に渡るため、もう少し具体的な内容を説明させていただきます。
お客様の趣向からお似合いの車種を選定し、その車種のご希望の程度の固体を探して、御購入から維持、遊びに至るまでのサポートをさせていただくことなどです。
家族構成の変化に合わせて乗車定員の増減のためにセダン→ミニバンへの乗り換え案件もあれば、個人ファンドの運用のための歴史的価値を持つ世界に数台しか現存しないような車両の買付けまで様々です。
金額で表すなら100万円以下から100億円規模までとなります。

と、今回はそんな私の宣伝ではなかったです。
「直近の相場観」

ズバリ!これから2017年下半期2018・2019年にかけて下げ相場です。
理由としては、二つあります。
一つ目は、アメリカの政治不安と世界での多発テロの影響から世界的な景気そのものが上向かず、車のような趣向性が高いものへの出費が控えられる傾向にあるからです。
二つ目は、近年ハイエンドな車の相場が高くまで上がりすぎたため、ここらで一度落ち着くはずという見方です。
空冷ポルシェ
実際には、2016年末頃からそれまで異常な値上がりを見せていた一部の車種がすでに大幅に下落し始めています。

現在も991型として連綿と続く大人気モデルであるポルシェ911の中でも、クラシックは別として、930型~993型までのエンジンを水冷ラジエターではなくファンの風により冷やす空冷方式を採用していた頃のモデルを指します。
フェラーリ12気筒ミッドシップモデル
比較的近代のネオクラシックと称されるモデルが該当します。具体的には、テスタロッサと512TR、512Mの3車種のことです。
どこの中古車店の在庫をみても3年ほど前まで500万円止まりだったテスタロッサの中古車価格が、突如として跳ね上がり出します。
半年ほどの短期間であっと言う間に約3倍の1500万円程度まで上昇してしまいました。
悪徳業者は、この相場を知らない素人のお客様相手に以前の価格に少し上乗せして買取り、大幅な利益を乗せて販売しています。
512TRも1000万円止まりだったものが、走行距離や程度しだいでは2000万円を越えるものもありました。
フェラーリV8初期モデル
スモールフェラーリというカテゴリができ始めた頃のモデル308や328も大幅な価格高騰を見せました。
それまで3~400万円程度だったものが、ある日を境に最高は3000万円以上にも到達しました。これはその頃、最新最強だったV8フェラーリ430スクーデリアが買えてしまうほどの価格です。
今では、少々落ち着き800~1000万円くらいの固体が多いようです。
フェラーリスペチアーレ
やはり超高級車の代名詞フェラーリだけあって、価格高騰の具体例を挙げようとするとほとんどがフェラーリになってしまいます。
スペチアーレと呼ばれるフェラーリ創業からのメモリアルイヤーを記念して作られるモデル達は、台数も少量限定のため価格高騰も必然ではあります。
中でも、フェラーリ好きから絶大なる支持を受け続けるF40(40周年を記念して作られたモデルで、創始者エンツォ・フェラーリが最後に指揮した車と言われる。)は、やはり、別格です。
バブル崩壊からの景気の底にあったときには3000万円程度まで下落していたものの、近年では1億5000万円ほどにまで高騰しています。
これはバブル絶頂期に記録した2億円にも迫る勢いです。バブル崩壊の際には最後に2億円で掴んでいた人はさぞかし悔しい思いをしただろうと考えていましたが、そうこうしている間に戻って来るどころかこのままだと利益を生み出しそうな勢いです。
もちろん50周年を記念するF50も同様です。むしろ世界的好景気に沸いた頃に作られ、飛ぶように売れたからと予定外に1000台程度作ってしまったF40より、遥かに純粋に限定された499台しか作られなかったF50は一度高騰し始めると早いです。
バブル崩壊後の底値は5000万円で、現在では1億5000万円~2億円程度で取引されています。こうしてみるとスペックや希少性を飛び越えたF40の人気度合いがお分かりいただけるかと思います。
投資対象としての自動車
車の値上がりを考えるということは、単に自家使用を目的に購入した車について自分が使った後のリセールバリューを考える話しではなくなってきます。
やはり、最初から値上がりを狙って購入し、売却するタイミングまで状態を適切に維持・保管しておくという需要も考えられます。
古くから、自動車は投資対象の一つとしても利用されてきました。

値上がり率

純粋な値上がり率として、これほど期待値の大きな商品は他にはないのではないでしょうか?
現在自動車の頂点に君臨するフェラーリ250GTO、一般市場の表にでない場所で70億前後で流通しています。
しかし、10年前は数千万、20年前は数百万、一番の安値を遡れば数十万円で取引されていた過去もあるのです。1960年台にわずか39台のみが製造された車が、50年の間になんと驚愕の1万倍の変動幅だったことになります。
その生産台数やブランド力からも値上がりを予測することはそれほど難しいことではなかったはずです。
トレンドの読みやすさ
もう一つの特徴として、上昇・下降の読みやすさがあります。
他の金融商品のように、どこかの国がデフォルトに陥って一夜にして紙くず同然になったり、短時間の間に乱高下することはありません。
なぜなら、リアルタイムトランザクションで相場が形成されているわけではないからです。景気に左右されて少し価格が落ちたとしても、それが世界的に浸透するのは数ヵ月後の話です。
将来価値は伸び続ける
金やダイヤモンド、原油などの現物資産は採掘量や供給量はほぼ横ばいで、価格は需要に左右される面が大きいです。
それに対して自動車は、全く同じ車種が再度製造されることは絶対にあり得ません。
そのため、古い車の価値が大きく下がるリスクが極端に低く、一旦下がっても、そのまま保持しておけば必ずと言っていいほど戻ってくることになります。
前回お話したフェラーリを代表するスペチアーレのF40がいい例です。
バブルの絶頂期に2億円で購入してしまった方も、その後のどん底3000万円を経て20年後の昨今ではほぼ元の水準まで戻ってきています。
景気の回復ももちろん要因の一つなのですが、何より年を重ねるごとにライバルとなる同型車の廃車による台数減少や近代の車への落胆から、価値がどんどん上がっていくということです。
ブランド的価値や歴史的価値と合わせて、実際の車の設計や思想のよさ、特に現代失われつつあるよさに着目するとよいでしょう。
「これから値上がりが期待できる要素」

可能な限り大穴も狙えるような基準を私なりにお示ししたいと思いますので参考にしてみてください。
マニュアルトランスミッション
近年では、ヨーロッパですらマニュアル車をほとんど見かけなくなってきました。ましてや、電気自動車は無段階変則ですし、ほとんどのスポーツカーですらオートマチックが主流です。
日本の新規運転免許取得者の90%がオートマ限定の世の中です。

これから先、新車としてのマニュアル車が益々なくなっていくと思うと余計に欲しくなってきませんか?
そういう方がたくさんいれば、もちろん、マニュアル車が高騰することになります。
実際に、少し古い車ならマニュアルだというだけで、ただの中古車にはない価値が付いたりしています。
希少性
これは当然と思われるかもしれませんが、何も前述のフェラーリ250GTOのように数十台のレベルでなくてもよいのです。
例えば、当時は不人気でライバルの後塵を拝していた車種。そのせいで生産台数は少なめなはずです。
しかし、ライバルがいるということは、それなりにメーカーが力を入れて開発に取り組んだこだわりの車種なことが多々あります。
設計がしっかりしていて、台数が少ないことによって当時もてはやされたライバルよりも価値が上がる。これは面白い現象ですね。
具体例を挙げるなら、ズバリ!日産・レパードが思い当たります。
バブル期のハイソカーブームの先陣を切った車種でありながら、後からでたトヨタ・ソアラの人気の陰に追いやられた車です。
車が単なる移動手段からアイデンティティを象徴するアイテムとして明確に意識されるきっかけとして日産が技術とデザインの粋を集めて開発されただけあって、今みると全ての点で前衛的であり、当時の最先端です。
値上がりが期待できる基準要素
・専用設計
将来価値がでる車というのは、全く価値がないものが突然認められるのではなく、その時代の中でもある程度前衛的な高級車であり、価値が認められてはいるものの中古車としてどんどん価値が下がっていった末に、後の車好きが振り返ってみたときにその価値に気付くといった場合がほとんどです。
専用設計ならば、その当時のメーカーの力の入れようや価値としては申し分ないでしょう。
例えば、フェラーリはその全てが“一応は”専用設計だし、価値が上がっていっている車にはホンダNSXのように専用設計のものが多いのも事実です。
・生産台数
希少性とも重複してしまうかもしれませんが、当たり前に生産台数は少なければ少ないほど良いです。
発売から20~30年経過し価値が上昇するころには、ライバルも半減しているはずです。
そのときの台数が少なければ少ないほど一台あたりの値上がり幅も大きくなります。
・同時代でのトップクラスのスペック
もちろん、最新の車と比較して速い必要はありませんが、当時としては同世代の中でトップクラスのスペックは有している必要があります。
例えば、日産スカイラインGT-R(BNR32)は当時としては画期的な直列6気筒ツインターボエンジンに最新の4WDシステムであるアテーサETSを搭載しておりマニア垂涎のスペックを誇っていましたが、四半世紀後の今となっては最新のクラウンの方がサーキットですら遥かに速いのです。
「今後値上がりが期待できる車種」

あくまでも私の経験に基づく独断と偏見によるチョイスとなりますので、外れてもご容赦くださいね。
また、外れたかどうか結果は、値上がりしたときにしかわかりません。
・メルセデス・ベンツSL(R129)のAMGモデル
・SL(R230)65AMGブラックシリーズ
理由は生産台数が少なく、一つの時代を象徴した存在だからです。
世界ではじめて自動車を作った偉大なるメーカーメルセデスの中でもSLは常に特別な存在です。SLのモデルチェンジは自動車界の一つの時代の移り変わりと言っても過言ではないでしょう。
そんなSLの超が付くスペシャルモデルですから、いずれは必ず値上がりします。
・メルセデス・ベンツC(W204)63AMG
AMG初の自社開発エンジンは6.3リッターの大排気量を持つ自然吸気エンジンでした。私も一時的に所有していましたが、このエンジンは最高傑作と言ってもいいと思います。
とにかく気持ちいい!そして、第二世代にスイッチして予定通りダウンサイジングターボ化されてしまったため、もう二度とこんな自然吸気エンジンは生まれてこないと確信しています。
次に自然吸気の時代が来る前に、全て電気自動車に変わっているはずだからです。今から買い占めておいてもいいくらいの確度だと思っています。
・フェラーリ 812スーパーファスト、及びそのスペシャルモデル
本命の登場です。
実は、812スーパーファストでフェラーリV12自然吸気エンジンは最後になると言われています。
今後ダウンサイジングターボしか生産しないとなれば、その出来がいかによかろうとも自然吸気の人気が沸騰するのは必然です。
そのせいで、ノーマルモデルの812ですら値上がりが見込めますし、そのスペシャルモデルともなればスペチアーレ並みの高騰が期待できます。
これを裏付ける証拠として、812の先代にあたるF12については、スペシャルモデルのF12tdfが発売から2年弱の現時点で6000万円だったものがすでに1億円で取引されるまでに高騰を見せています。
今後も値下がりすることはほぼないといってよいでしょう。
・アストンマーティン ヴァルキリー、メルセデス・ベンツのF1エンジンモデル
この両車は未だに公には全様が明らかにされていませんが、10000rpm/mまわし1000馬力級の最高出力を発揮する超高回転型小排気量ユニットを搭載する車重1000kgを切るモデルだとアナウンスされています。
秘密裏に上級顧客のみを対象とした内覧会を開催し、すでに予約がはじまっています。
どちらも超少量生産の限定車となるため、スペックと合わせて考慮すれば高騰すると見てまず間違いないと思います。

まとめ
車の値上がりの仕組み、値上がりする車の特徴、具体的な車種に至るまで惜しみなくお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか?
投資効果については、個人的には一般的な投資より遥かにローリスクハイリターンだと思います。投機的に考えることは賛成です。
ただし、純粋に車として愛する気持ちも忘れずに扱ってくださいね。
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