
私のこれまでの経験から独断と偏見で、車好きにぜひ乗っていただきたいとっておきの一台を選ぶコーナーです。
合言葉は「車は乗ってみるまでわからない!」です。
第五回目となる今回は、どんな一台が飛び出すのでしょうか?
ポルシェ・ボクスター
前回意外性のある一台としてフィアット・バルケッタを紹介しておきながら、この車を挙げるのは大変恐縮ではございますが、今回は王道中の王道ポルシェ・ボクスターとさせていただきます。
ポルシェ・ボクスター
今更ながら説明する必要もないですが、ポルシェといえば911を筆頭に世界中のファンの心を掴んで離さないスポーツカー専売メーカーです。
ちなみにポルシェとしては、「我々はスポーツカーを作っているつもりはなく、いい車を作っているだけだ」とのことです。
そんなポルシェのラインナップの中でもエントリーモデルに位置するのがボクスターです。
オシャレなスタイルと比較的手に入れやすい価格帯である上に、本格派のミッドシップスポーツカーであることから入門者から玄人、老若男女問わず幅広い層に支持されています。
エントリーではなく実は本命?
遡っていくと、初代911は実用車だったフォルクスワーゲン・ビートルのシャシーを流用して生み出されたことがわかります。
つまりは、現代ではRRレイアウトが称賛を浴びているかのように錯覚してしまいますが、実は真の称賛の対象はRRという不利なレイアウトを使いつつ、世界中の愛好家を魅了し続けるポルシェの技術力にこそあるのです。
ポルシェ自身もこの事実を認めています。
その証拠に技術の粋を集めたスペシャルモデルであるカレラGTや918スパイダーは、どちらもMRレイアウトが採用されています。メーカーによる911への裏切りとも受け取れる行為です。
そして、スペシャルモデル以外にも、そうです、ボクスターやケイマンにもMRレイアウトが採用されているのです。
個人的にはこれらのボクスターやケイマンこそが、ポルシェが本来作りたかった理想の車なのではないだろうかと考えています。
最新こそ最良か?
ポルシェといえば「最新こそ最良」のフレーズが有名ですが、果たして本当にそういいきれるでしょうか?
私は987→981のSと2台を乗り継ぎましたが、ダウンサイジングターボ化された718に買い替える予定はありません。
なぜなら、直列4気筒のターボエンジンがあまりにもつまらないからです。
確かにターボ加給によるトルクは素晴らしいですが、それとフィーリングが引き換えになってしまいました。
まるで電気モーターのようなどこからどこまで踏んだところで、何の情緒もないつまらない実用エンジンです。
シャシーや足回りも改良されてはいるものの基本は981と同じ。
それなら、いっそ6気筒のボクサーエンジンを載せた981に乗り続けた方がいいというものです。
従って、今回ばかりは最新こそ最良とは言い切れないと判断させていただきました。
3年間乗ってみて
雨が降っている以外は、常に屋根を開けた状態で走っています。
一度屋根のない爽快感を知ってしまうと病みつきになります。
冬ですらシートヒーターを聞かせれば首から下はポカポカで顔は涼しく、まさに温泉状態です。
日常の足として考えたときに、確かに2シーターなので人を乗せることは苦手ですが、トランクは車体の前後両方に完備されているため、思いのほか荷物が入ります。
2人分の荷物であれば、困ることは皆無です。
また、約3年間維持してみて故障は全くありません。
「外車は壊れやすい」という漠然としたイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、ドイツを代表する一流メーカーの車だけあって非常によくできています。
そして、なんと故障率の低さは日本メーカーを上回り世界3位であることから品質の高さは折り紙付きです。(2017年J.D.パワー調べ)
実際にかかった維持費は、税金とエンジンオイル交換、そしてフロントブレーキパッド交換のみです。
総額でも20万円にも満たない金額で、年間7万円の月6千円程度と、普通の国産車並みかそれ以下で収まることがご理解いただけるかと思います。
ボクスターの魅力
そんなボクスターの魅力的なポイントをおさらいしてみましょう。
- 購入しやすい中古車価格帯
- よく曲がり、よく止まる高い運動性能
- オープンカーならではの開放感
- 故障知らずの頑丈さ
- ポルシェが持つ高いブランドイメージ
- ミッドシップのお手本のような乗り味
ポルシェという名前だけを聞くと、どうしても玄人向けで敷居が高く気おくれしてしまうかもしれませんが、乗ってしまえば想像以上にフレンドリーです。
学年一の優等生でとっつきにくいと思っていたけど、話してみれば共通の趣味もあってすぐに打ち解けられた。といった感じでしょうか。
みなさまもぜひ一度思い切って優等生に話かけてみてください。
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