時代に逆行したRR 新型ルノー・トゥインゴの試乗記

新車・試乗情報
2016年に日本での発売が正式に発表された3代目ルノー・トゥインゴ。
一見するとただのお洒落なコンパクトカーに思えますが、RR(リアエンジン・リアドライブ)という独特の設計がなされています。
一体どのような乗り味なのでしょうか。
今回はベースモデルである「インテンス」に乗ってみました。
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ルノー・トゥインゴのスペック詳細

まず、気になるスペックは以下の通りです。

  • 全長×全幅×全高 3,620mm×1,650mm×1,545mm
  • ホイールベース 2,490mm
  • 車両重量 1,010kg
  • エンジン 直列3気筒DOHCターボ
  • 排気量 897cc
  • 最高出力 66 kW [90ps]/5,500rpm
  • 最大トルク 135Nm[13.8kgm]/2,500rpm
  • トランスミッション 6速EDC
  • 駆動方式 RR
  • 価格 189万円(税込)

 

現在販売されているグレードは

 

ベースモデルの「インテンス」

自然吸気エンジンとMTを組み合わせた「ゼン」

ベースモデルにキャンバストップを組み合わせた「インテンス キャンバストップ」

そして109psのターボエンジンを載せたスポーツモデル「GT」

の4種類あります。

 

 

ルノー・トゥインゴの高い街乗り性能

初めて見たときの第一印象として、お洒落なデザインだと感じました。

 

ヘッドライトは丸みを帯びていて、正面から見ると笑った顔の様です。こういう顔のデザインは女性受けが良さそうに思えます。

また、内装はとてもシンプルで、スタイリッシュにまとまった色使いです。

 

トゥインゴの特徴は本場パリで磨かれた高い街乗り性能にあります。

 

乗ってみてはじめに気が付くのは、まるでミニバンに乗っているのかと思う程の視界の良さです。

一般的なコンパクトカーに比べてシート位置が明らかに高く、大きめのフロントガラスからの視界は抜群に良好です。

 

さらにフロントにエンジンが無いため、ボンネットが短く、クルマの鼻先を運転席から覗くことができます。

これだけ見やすい運転席であれば、街乗りが苦手な人でも安心して運転することができます

 

実際に運転してみるとサスペンションはやや硬めに設計されていて、小気味良く道路の轍を吸収してくれます。

流石はパリの石畳を想定した足回りだと感心してしまいます。また、この車は取り回しが良く、旋回性に秀でています。

 

街乗りで欠かすことができない旋回性能は最小回転半径4.3mという軽自動車に負けない数字です。

これなら狭い道でハンドルを切り返すことがあっても苦になりません。

 

 

走る楽しさを感じられる工夫

トゥインゴはRRというレイアウトから、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)では味わうことができない感覚を日常的に味わうことができます。

 

停まっている状態からアクセルを踏むと背中から押されるように感じるのはまさにRRの特徴です。

フロントにエンジンが無い分、軽快に発進することができるのです。

 

また、フロントが軽くハンドルの切れが良いため回頭性が高く、スムーズにコーナーに進入できます。

さらにリアドライブという特性から、カーブに入ってからはアクセルワークで曲がって行く面白さがあるのです。

 

トゥインゴのエンジンは先代よりもダウンサイジングされており、ターボ過給によってパワーを出しています。

90psという数値だけ見ると力不足に思えますが、実際にアクセルを踏んでみると、ターボを感じてグイグイ加速します。

街乗りでは全く不便はなく、高速道路でも十分他のクルマに付いて行くことができます

 

トランスミッションにはEDCと呼ばれるデュアルクラッチトランスミッションが使用されていますが、これがなかなかの癖ものです。

 

完全なオートマ車にも関わらず、まるでマニュアル車に乗っているかのような感覚があります

低いギアに入っている時、アクセルのタイミングが合わなければガクっと車が振動し、一方的なアクセルワークを受け付けてもらえません。

 

私としてはオートマであってもマニュアルのダイレクトさを味わえるという点で面白く感じられますが、普段からCVT(無段変速)に乗り慣れている人からすれば、ただただ運転しづらいと思われてしまうかもしれません

 

しかし、この個性的な特徴が日常の運転を楽しくしてくれるのだと思います

 

 

 

懐古的なイノベーション

このクルマを運転すればするほど、そのキャラクターがはっきりと浮かび上がり、それと同時にこのクルマが発信するメッセージが伝わってきます。

今の時代、ほとんどの車ではFFが採用されているため、RR自体がとても珍しい駆動方式です。戦後の自動車には居住性が高いという観点からRRが採用されていました。
しかし、今ではFFであっても十分空間を確保することができるため、実用面でRRを採用するメリットはあまりありません。ではなぜ今、実用車をRRにしたのでしょうか。
その答えの一つが、「車を操る楽しさ」を味わうためだと私は感じました。

 

FFに比べてRRの動きは多少ピーキーになります。しかし、その分クルマと対話する機会が増えるのです。

利便性を求める今では、ほとんどの実用車がオートマになり、クルマと対話をする機会が少なくなってしまいました。このトゥインゴは失っていた懐かしい気持ちを甦らせてくれます。

トゥインゴに乗れば日本のコンパクトカーが味気なく感じてしまうかもしれませんね。

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