
少しオーバーにいうと燃費まで変わってしまいます。
車を洗って常に綺麗にしておくと気持ちいいという単純な心理的効果だけではないのです。
洗車といっても、実は次のようにさまざまな効果があります。
<洗車がもたらす効果、意外なものまで>
- 常に綺麗に保っておくことで、メカニカルトラブルによる汚れに気づきやすい。つまり、故障の早期発見につながります。な車という存在を持ち続けるのか?
- 丁寧な操作による事故率低減&燃費向上!綺麗な車に乗っていて汚したくないという心理的作用から運転が丁寧になる傾向があります。
- ボディに埃や鉄粉などが付着したままにしていると、乗り降りの際に服やズボンと擦れることによりボディにヘアライン傷がつきます。微細な傷でも積み重なることでボディから光沢を奪います。
- もちろん中古車市場でも綺麗な車の方が高値がつきやすいのは当然です。その保護成分で定期的にコーティングされている車とそうでない車では紫外線などによるダメージに大きな差がでます。最近の洗車用洗剤には、保護成分が含まれているものがほとんどです。
まだまだ他にもありますが、主なものはこの辺でしょうか。
洗車の種類

ガソリンスタンドのワンコイン洗車機から専門のプロによる手洗いまで。あなたはいつもどうやって洗っていますか?
もし、ボディを傷から守りたいのであれば洗車機に入れるのは絶対にNGです。
洗車機のブラシはそのものの固さ的にもNGですが、何より泥や砂がたっぷり付着した車を数百台も洗ったものの使いまわしです。
これはもはやサンドペーパーで洗っているにも等しいと言えるでしょう。
もうすでに手遅れなくらい傷つき、光沢がなくなってしまった車専用とお考えください。

たった一度でも!です。それくらい変わってしまうとご理解ください。
「専門業者による手洗いが一番なのはわかるけど、毎回あの値段はだせない。」「価値を保ちたいけど、そのためにお金がたくさんかかるなら本末転倒。」という方、もちろんその通りです。
継続することが重要ですので、続かないのでは意味がありません。
それではどうすればいいのでしょうか?
お金を払ってでもやりたい?洗車の楽しさとは!
正しくないと効果がでない。それどころか逆効果。楽しくないと続かない。
車の価値を保ち、お金の節約にもなる上に楽しかったらいうことなしですよね。

たった一度でも!です。それくらい変わってしまうとご理解ください。
では、洗車のいったいどこが、何がそんなに楽しいのか?についてお話します。
<私が洗車を楽しいと感じるポイント>
ポイント2:車の隠れた魅力=ボディラインを発見できる喜び。

ご自身の車のどこにどんなダクトがあって、ドアに何本のプレスラインが走っているか答えられますか?
フロントエンブレムがボンネットとバンパーのどちらについているか自信をもって答えられますか?(画像のフェラーリならバンパーについていますが、ポルシェはボンネットについています)
常に身近にあり見慣れているにも関わらず気付かなかった特徴があるものです。
とある自動車デザイナーはこういいました。
“デザインとは企みである”
わかりやすく解説すると、見る者に“こんな印象を持たせてやろう”という計画こそが、即ちデザインというものだということでしょうか。
例え車好きを自負している方であっても、多くの方はこの企みの餌食となり車の真のボディラインを捕らえることができていないのです。
では、洗車さえすれば真のボディラインがわかるのか?と言うと、そうでもありません。
ただただボディをなぞるだけでは人間には認識できません。車のボディラインをみてやろう、“デザイナーの企みを暴いてやろう”と、考えながらなぞって初めて理解できるのです。
実は洗車って、ルーフを洗うときには背伸びもするし、ホイールや下回りならしゃがみます。
これらを繰り返し何度も反復するので、かなりの全身運動になります。
洗車の翌日には筋肉痛になるほどです。ただただ運動するのは続きませんが、自分の車が徐々に綺麗になるのを見ながら楽しんで続けられます。
書くか書くまいか少し悩みましたが、正直に書くことにしました。
車には女型と男型があります。
業界では、「今回のメルセデスSクラスW222は女顔だね。W221が男臭かったから順番的にもね」なんて会話が普通に話されます。
メーカー公式アナウンスはありませんが、確かにメルセデスSクラスは男性的なデザインと女性的なデザインを意図的に交互に繰り返していると言われています。
前述の男型W221型Sクラスを洗うのと画像のFerrari Californiaを洗うのとでは明らかに気分が違います。
Ferrariはドアハンドルが女性のマニュキュアを塗った指先を意識していると公言するほど女性を意識した美しいデザインで構成されています。
そのせいかCaliforniaのリアフェンダーを洗っているとき、どうしても少し恥ずかしいような嬉しいような、例えるならシャワーで女性の体を洗っているような性的高揚感がこみあげるのです。
このような変態領域まで理解する必要はありませんが、自分独自の視点を見つけるのもとても楽しいですよ。
ここまで読んでいただければ、そろそろ洗車がしてみたくなってきたのではないでしょうか?
続いては正しい洗車方法について詳細にレクチャーさせていただきます。

できるだけ難しいことは言わず、手間をかけすぎず、基本的な部分から始めさせていただきますので、飽きずにお付き合いください。
最も大事な条件・・・お天気
雨の日に洗車する方はめったにいないとは思いますが、雲一つない青空が広がった日に洗車を思い立つ方も多いかと思います。
実はNGです。なぜかといいますと、日差しが強い日に洗車をすると水を拭き上げる前に乾燥してしまって、ウォータースポットができてしまうからです。
一度できたウォータースポットを落とすのは大変ですので気を付けてください。
では、どんな空模様が洗車に適しているのでしょうか?答えは“曇り空”です。
直射日光を浴びる恐れの無い曇り空は乾燥も遅く慌てずに洗車できますし、水のレンズ効果で塗装を痛める心配もありません。
都合よく洗車したい日に曇りが来るとは限りませんよね。そんな場合は、日陰や地下を選ぶか、日差しが強くなる前の早朝なら洗車しても大丈夫です。
<ウォータースポットとは?>
ボディ表面にできる水の痕の総称です。
イオンデポジットと呼ばれる水道水に含まれるイオン成分の付着で、この成分は雨水より水道水に多いと言われています。
家の中でも、お風呂場などで浴槽や鏡に付くあの鱗だと思ってください。
<注意していてもウォータースポットをつけてしまった場合は>
専用のイオン分解洗剤(スポットリムーバーなど)を使って洗ってください。
間違っても力で消そうとゴシゴシ擦ったり、水垢落としなどクレンジング成分の入ったもので落とそうとしないでください。どちらもわざわざ傷をつけているのと同じです。
それほどこだわらなくて大丈夫!洗車道具
次は、必要となる道具について説明させていただきます。
道具と聞くと、拘りが厳しかったり、その分高価だったりと思い浮かべてつい腰が引けるかもしれませんが、ご安心ください。
“正しく洗う”を常に強調していますが、理由は簡単です。
世に出回る洗車方法や洗車道具には、その場では一見綺麗になったように見えても、実はボディを傷つけ劣化させていっているものが少なくないからです。
最低限必要となる道具と選び方のポイントについてお話します。
・バケツ
何でもいいです。家に転がっているものでも、洗車道具を格納できてトランクに置いておける専用のものでも、水さえ溜められればなんでもいいです。
ただし、容量だけはご注意ください。面積大き目のミニバンや大型セダンには大きめのバケツをご用意ください。
・スポンジ
常に新品もしくは使用3回までの新しいスポンジを二つ(一つは予備)と、もう一つ使い古しでいいので下回りとホイール用のものを用意してください。(3回以上使ったスポンジをこちらに回せばよいでしょう)
スポンジにも特に拘りはありません。高いスポンジを何度も繰り返し使うよりも100円の新品を使いましょう。ここは絶対にケチらないでください。
なぜ予備がいるかというと、うっかり地面に落としてしまったときのためです。
一度地面に落としてしまったスポンジは“絶対に!”使わないでください。
100円をケチってボディに傷を付けたのでは本末転倒です。
地面に落ちると必ず目には見えなくても石や砂が付いてしまいます。
スポンジは汚れを付着させて落とすものなので当然です。石や砂のついたスポンジはサンドペーパーと同じです。
・拭き上げ用クロス
塗装面にやさしい繊維を使用しているものならなんでもよいです。
高価なものほど吸収力が高いのも確かです。
お勧めは、コストコで売っている“マイクロファイバータオル ウルトラソフト 36枚入り” 1,448 円です。
一枚約40円と安価で手軽に使い捨てられるわりには、侮れない吸水性能です。
その上、拭き筋も付きにくく、車のみならず、家の中でも窓や鏡を拭くのに重宝しているくらいです。
通販やネットショップでも取り扱われているのでぜひお試しください。
もちろんスポンジ同様で、落としたら潔く捨てましょう。
使い捨てがもったいないものについては、必ず毎回洗濯機で洗ってください。
・洗剤
ここでは2種類の洗剤を紹介させていただきます。
<コーティング成分入り洗剤>
撥水やUVカット等のボディ保護成分が入った多機能洗剤です。
洗うだけでコーティング効果があり、連続して使うことで積み重ねられる優れものです。
特徴としては、雨や埃などの汚れが付きにくく、光沢が出るなどの効果が得られます。
撥水が効いていると、雨でもフロントワイパーを使わなくてもよいほど撥水してくれるので運転も楽です。
<コーティング車専用洗剤>
すでにガラスコートなどのコーティングが施工済みの車に対して、それらへの攻撃性をなくして長持ちさせるための洗剤です。
コーティング入りの方が希釈率も低く割高になる傾向にあります。
私が使用しているのは、老舗ワックスメーカー“シュアラスター”の“ワックスシャンプー(S-31)”と“カーシャンプー(S-30)”です。
洗剤選びのポイントとして、以下の3点は必ず守ってください。
- 必ず成分を確認し研磨剤やコンパウンドといった表記が入っていないものを選んでください。さもないと洗車の度にボディを削ることになります。
- 必ず成分を確認し研磨剤やコンパウンドといった表記が入っていないものを選んでください。さもないと洗車の度にボディを削ることになります。
- 泡がたくさん立つ洗剤を選んでください。
ボディを洗うときにはスポンジで擦るのではなく泡で汚れを落とすことを心がけてください。
道具の説明はここまでです。
これらにプラスアルファして、洗車後の後塗りタイプのものや伝統と信頼の固形ワックスなど、自分と車にあったスタイルをいろいろ試してみてください。
道具が全て揃ったところで、いよいよ肝心な洗い方に入っていきましょう。
手順①洗剤の準備
バケツの底に前回洗ったときの砂や汚れが残っていてはいけないので、水で濯ぎましょう。
希釈タイプの洗剤は、適量バケツに注ぎ上から水をかけてよく泡立てておきます。
手順②車の砂落とし
車に強めの水をかけることで、表面に堆積した砂や埃などの大きな汚れを落とします。
車に水をかける際には常に高い場所から低い場所へ流すことを意識します。
逆に下から上へ流してしまうと、低い箇所に上から流れてきた汚れが残ってしまうことになるからです。
また、車に水をかけるときの水勢は強すぎには注意しましょう。
車のボディを構成するアルミや鉄のパネルがいくら硬いイメージでも実際には水圧により微細な単位で凹んでいきます。
ボディに強い光を当てれば反射で凹みを目視できてしまうほどです。
手順③上面のスポンジ洗い
綺麗な方のスポンジを使って、車の主だった部分(ホイールやサイドスカート、バンパーリップ等以外)を洗っていきます。
ここが一番気を使うメインの作業ですので、ポイントに注意しながらやっていきます。
<ポイント>
- ルーフ、ボンネット、右フェンダー、左フェンダーなど部分に分けて洗い、都度水で洗剤を落とします。
- 必ず一番高い位置にあるルーフから始めてフロントガラス→ボンネットと順番に降りていきます。
- スポンジは円ではなく直線で動かします。磨き傷がついてしまう場合、線よりも円の方が目立ってしまうからです。
- 縦に洗う場所は、スポンジももちろん上から下へと動かします。
- スポンジはボディを撫でる都度バケツで濯ぎと泡補充を行います。これを怠れば、汚れ=砂等を付けたスポンジで撫でるわけですからサンドペーパーで削るのと同じです。同様の理由でスポンジは一度上から下へ動かしたら下から上へは絶対往復させないでください。
手順④下周りのスポンジ洗い
新品では無い方のスポンジの登場です。
サイドスカートやバンパーリップ、マフラー出口など汚れの激しい部分を洗っていきましょう。
下周りには虫や鉄粉、ゴム片など激しい汚れの付着が多いかもしれませんが、絶対にきつく擦ってはいけません。
車のボディは力を入れて擦れば必ず傷になってしまうものです。
汚れの性質にあった専用のリムーバーが存在しますので、時間のたっぷりあるときにまとめて落としましょう。
手順⑤ホイール
ホイールには材質毎(スチール、アルミ、マグネシウム、カーボン)に専用のクリーナーが存在しますが、最近の洗剤ならどの材質でも汎用的に汚れは落ちます。
スポークが多いものなどスポンジで洗いにくいものは軍手を手に付けてそれ自体で洗うなど工夫してみてください。
ホイールを洗う際に気になってついでにブレーキ周りも洗う場合があります。
ごく一部の車だけの注意になってしまいますが、カーボンブレーキと呼ばれるカーボンとセラミックの複合材を使用した超高性能ブレーキを洗う際には、絶対にパーツクリーナーを使ってはいけません!カーボン複合材を溶かしてしまう成分が入っています。

ここまでの工程で個々の部分を洗う都度水で流していた方は、これで綺麗になっているはずです。
コイン洗車場などの水が出る時間が限られている場合は、手順②と同様のやり方でまとめて綺麗に流してください。もちろん洗剤の流し残しは塗装面によくありません。

手順⑥水飛ばし
楽をするために私はやっていますが、この工程は飛ばしてもらっても結構です。
車の細部まで水が入り込んでいるため拭いても、どこからかサイドミラーの隙間やドアモールの下から水がでてきます。
そこで、走行することで揺れと風で水を一気に飛ばします。
信号待ちが多く水を飛ばすより前に乾いてしまうようではウォータースポットを作ってしまいますのでご注意ください。
風圧で水を飛ばすために速度を上げすぎてスピード違反にはくれぐれもご注意ください。
水を飛ばす過程で砂を巻き上げ、それがドラッグによりリアバンパーなどに堆積することがよくあります。
その場合は、その部分にだけもう一度水をかけて洗ってください。
実は、ガラスコーティングが効いている状態だと、この工程でほぼ拭き上げの必要がないほど水が飛んでしまいます。
手順⑦拭き上げ
スポンジの使い方と同じ要領でタオルで水を拭き上げます。ここでも円を描くのではなく常に縦に動かします。
手順⑧内装
ボディの拭き上げが終わったら、そのタオルでそのまま内装まで拭いてしまいましょう。
ドアを開けたときのピラー側面などもお忘れなく。
ここまでで全ての基本となる洗車は完了です。
引き続き、応用技やプラスアルファのカーケアを紹介させていただきます。
応用編
以下の応用編がありますが、全てはきっちり正しい基本の洗車があってはじめてできることです。
・粘土がけ
鉄粉やタールなどの激しい汚れを落とすために専用の粘土で擦ります。
粘土かけ前後での肌のさわり心地の違いが大好きです。少し面倒ですが効果大です。
・ワックスがけ
伝統と信頼の固形ワックスから新進のリキッドタイプまでさまざまなワックスが販売されています。
ギラギラ系の仕上がりが好きな方、ナチュラルな光沢が好きな方、好みは人それぞれだと思いますので、スタイルに応じた製品を探し当ててみてください。
・ボディ研磨~コーティング
電動ポリッシャーを用いて、ボディ表皮の凹凸を薄く削り平らにすることで光の反射を整えます。
その後、コーティングを施します。
個人的にはこの削る工程があまり好きではなく、削らずに埋めて平らにするタイプを使用します。
小技
タイヤワックスは安価で量販店で2本300円程度です。
そんなタイヤワックスですが、実はプラスチックの回復にも効果を発揮します。
内装でも外装でもいいのでプラスチックが熱や紫外線で白っぽくなってきている部分に塗ってみてください。
あっという間に黒々とした光沢が蘇ります。効果も次の洗車くらいまでは続きます。

さっそく次の曇りの週末から始めてみてください。
綺麗になるにつれて愛着も沸いてくるでしょう。
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