最近の車は一昔前に比べて故障率が著しく低下し、動くことが当たり前だと思われがちです。そのため急に故障して動かなくなると本当に困ってしまいますよね。まずは、安全や二次的損害に注意した初動対応をお話し、その後本格対処のための修理方針選びまで解説させていただきます。
流れをわかりやすくするためにシチュエーションに応じて二つの場合にわけて解説したいと思います。まずは、車を使用中の突然に故障についてです。緊急性が高く一番困るパターンです。場合によっては人の生死にも直結しかねないだけに日頃から万が一に備えて想定しておいて損はないと思います。
修理の対応方法を知らなかったり、選択肢が少ないがために手放す他なくなってしまう場合まであるかもしれません。そんな事態に備えてぜひ頭の片隅にいれておいてください。
安全確保
故障への対処の前に安全確保が最優先です。もし、道路を走行中にいきなり故障が発生した場合には必ず安全な場所に退避させましょう。明らかな違和感があるにも関わらずなんとなく走行は継続できるからといって惰性でごまかすのは絶対にNGです。本当に道路の真ん中でとまってしまってから後悔したのでは遅いので、違和感を感じたら速やかに待避所や路肩のできるだけ後続車が追突する可能性の低い場所に停車しましょう。
ここで一番大事なことは深呼吸して落ち着くことです。事故発生直後にも似た思考状態になるとは思いますが、とにかく落ち着いて行動することを心がけます。
慌てて車から飛び出して車を避けようとしていた後続車に跳ねられるなんてことだけはないようにご注意ください。家族や恋人など同乗者がいる場合には車から絶対に降りないように指示します。後続を含めて周囲の安全が確保できたところで、速やかに降車し歩道などの安全な場所にあがりましょう。
余裕があれば、三角停止板を車両後方に設置しておきます。
故障箇所の切り分け
一通り安全が確保できたところで、その後の対応方針を検討するために故障箇所を切り分けていきます。切り分けのポイントと応急処置の可否は以下の通りです。
コツは動力が伝わっていく順番に従って確認していくことです。具体的にはエンジン→トランスミッション→足回り→タイヤの順です。
エンジンはかかるか?
そもそもエンジンがかからなかったり、かかっても勝手にストールしてしまうようだと、その場での応急処置は不可能だとお考えください。
考えられる原因としては、主に燃料ポンプやエアマスセンサーの故障冷却水漏れによるオーバーヒートなどが挙げられます。
また、エンジンは辛うじてかかってはいるものの、異常な振動が感じられたりアイドリングが不安定な場合には、やはりエアマスセンサーが異常値を示している、または、点火コイルの故障、吸気ラインの劣化等による二次エアーの吸引などが考えられます。
どれもエンジンにとっては非常に良くない状態ですので、無理に動かすことは控えた方がよいでしょう。(エンジン本体をダメにしてしまう大きなリスクを覚悟した上で多少動かすことは可能です。)
トランスミッションのギアチェンジができるか?
エンジンはいつも通りかかっているものの、肝心の動力をタイヤに伝えるためのトランスミッションが不調では走ることはできません。
ギアが2速などで固定されてギアチェンジができない場合には、辛うじて走行することは可能です。
しかし、固定されるのが低速ギアの場合には、エンジン回転数が高い状態がキープされてしまうためエンジン本体や冷却機関への負担が増大してしまうため要注意です。
原因としては、オートマチックトランスミッションの変速タイミングを制御するバルブボディ本体や電子制御基盤の異常が考えられます。
走行距離が多い個体ではトランスミッション本体の経年劣化もあり得なくはないですが、そういう場合には突然ではなく徐々に故障していくものです。
どの原因にしても修理費が高額になる傾向にあります。
タイヤがパンク(バースト)している
エンジンやトランスミッションが正常でも路面と接している肝心のタイヤが機能しない状態ではまともに走ることはできません。
また、無理に走行を続けると他のタイヤや足回り(特にデファレンシャル)にも悪影響を及ぼすため、直ちに走行を中止した方がよいでしょう。
この場合には発生直後の応急処置が可能です。
安全に作業できる場所ならその場でスペアタイヤに交換したり、パンク修理材を使用して穴を塞いでしまいましょう。応急処置後はその状態での走行可能速度が規定されていますので、よく確認の上で遵守しましょう。
応急処置不可能な場合の対処
その場での応急処置が可能なのはせいぜいタイヤ程度ですので、ほとんどの場合がこの方法を利用することとなります。
道路上に故障した車を放置しておくわけにはいきませんので、交通の妨げにならない場所に移動させることが最優先となります。
自走できないからには輸送してもらうほかありませんので、ロードサービスに電話します。考えられるロードサービスについて、特徴を挙げておきます。
JAF
レッカーによる輸送は、15kmまで無料となっており、それ以上になると1kmあたり700円の有料となります。電話番号(0570-00-8139)が覚え易く便利です。
保険会社のロードアシスト
付き合いのある車屋さん
ただし、拠点の少なさや人員不足など考慮すると即時対応というわけにはいかないと思われます。
ディーラー
ただし、24時間ツーリングサポートなど個別のサービスに加入していなければ有償対応となってしまう場合がほとんどです。それでも、故障した車への配慮を優先する場合には依頼するのもいいでしょう。
上記のどこに電話するのかは、輸送する距離やその後の修理予定などに合わせて選択するといいでしょう。例えば、付き合いのある車屋さんで修理する予定の場合には、真っ先に車屋さんに電話し、手が空いていなければJAF(15km以上の距離がある場合には保険会社)というようにです。
どのサービスの場合も同様ですが、プロとはいえ人のやる作業です。車体に傷がつかないか、載せかたを間違っていないか、念のため全作業を自身の目で見守りましょう。
輸送先について
輸送先については、必ずしも修理可能な自動車整備工場である必要はありません。もちろん個人の駐車場でもOKです。なぜこんなことを言うかといいますと、緊急時の慌てた状態で急いで修理してくれる先を探すと足元を見られかねないからです。
一旦輸送してしまうと、見積もり金額がいくら高くても運んでしまったのだからしかたないと諦めて割高な修理費を支払ってしまいますよね。そこで、一度自宅の車庫など迷惑のかからない場所に輸送し、後日ゆっくりインターネット等も駆使しながら安く適切に修理してくれる工場をさがしてみるのも手です。工場がみつかれば、その工場に引き取りに来てもらったり、もう一度ロードサービスを呼ぶことも可能です。
ただし、一度入庫してしまうと不動での再出庫が困難な駐車場には入れてはいけません。例えば、機械式やタワー式の駐車場、フラップ式のコインパーキング、スロープが急な地下駐車場などが該当します。
事例-ロールスロイス・ファントム
冒頭でもお話したように、実は、私自身も昨日ロールスロイス・ファントムでロードサービスのお世話になっています。
タイムリーなので、事例として詳細にお届けしておきます。
以前から少し冷却水が漏れているのはわかっていたのですが、給油の度にリザーブタンクに水道水を継ぎ足すくらいの漏れだったので様子をみていました。ところが、昨日走行中に突然エンジンノイズが大きくなり、すぐストールしてしまいました。
LLC特有の焼ける臭いと症状からすぐに状況が理解できたため、ストール直前には辛うじて路肩に寄せることができました。その後、エンジン保護のためにも再始動を試すこともなく、JAFに連絡(電話番号がすぐに思い出せるのは大きい)
いつもなら50分ほど待たされるはずが、この日は20分で来てくれました。車が車なだけにJAFの隊員も不安だったらしく応援を要請しており、最終的にはレッカー3台に4人の隊員が集結して作業に当たってくれました。
生憎の雨だったのですが、さすがの手際と応用力でなんとか車を牽引することに成功し、私が契約している平置き駐車場に格納することができました。
時間的には、21時に故障発生、21時半JAFの最初の隊員が到着、22時半牽引準備完了、23時半駐車場到着、23時45分撤収といったところで約3時間必要でした。普通の車なら半分の時間で終わると思われますのでご安心ください。
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