そこで、中古車の売却にまつわる例を私の実体験を元に紹介させていただきます。
対象車両の紹介
実は、今回お話する事例は、仕事として請け負った委託車両ではなく、私が個人的に所有していた車に関するお話です。
申し訳ないのですが、私も人の子、お仕事の車以上に熱が入ってしまっています。その分こだわり抜いた売却シナリオとなっていますのでお役に立てるかもしれません。
・車名:ロータス(Lotus)
・車種:エリーゼ111R
・年式:2006年式
・走行距離:24000km
・車検:残り1年
・履歴:2オーナー
・その他:
-禁煙車
-新車価格は700万円程度
-点検記録簿あり
-エンジン内部以外はフルチューンで改造費200万円以上、ロータスのチューニングで最も有名なショップOUTERplusのフルコンプリート車両
(オーリンズサスペンション、ATS強化シングルクラッチ&デフ、HKSエアクリーナー、ドナーゲマフラー、イケヤフォーミュラーシーケンシフター、外装OUTERplusオリジナル、カーボン化とエキシージ化、ヨコハマタイヤA048ラジアルコンパウンド、RECAROシート、ECU現車合わせ、カーナビ、ETC)
売却準備
売却にあたって、セオリーとおりに以下の順で準備を進めていきました。
売却理由の確認
売却を迷っていたり、売却の意志が鈍ってしまったのでは売り時を逃してしまうことにも繋がりかねません。ここでしっかりと自分の中での整理をつけておくことが重要です。そのためにも、売却理由はなんだったのか?それは回避できないことなのか?他の代替案はないのか?を明確にしておきます。
今回の理由は簡単でした。子供が生まれるため乗車定員がたりなくなるからです。この頃から私はすでに車を常に複数台所有していたのですが、この時は2台で両方ともオープン2シーターという異常な組み合わせでした。そのため、どちらか1台を4人乗り以上に買い換える必要があったのです。
今回の対象車以外のもう一台がメルセデス・ベンツのSL500でした。趣味性の観点から言えばこちらを売却したかったのですが、ロータスエリーゼはライトウェイトの生粋のスポーツカーということもあり安全性が高いとは言えません。生まれてくる子供のことや家族のことを考えて少しは自重するべきとの周囲の助言があったことも理由の一つとして挙げておきます。
売却以外の方法がないか
売却以外にもカーシェアなどで維持していく方法もあることを過去に紹介しました。この頃はまだ私はカーシェアを始めていませんでしたが、始めていたとしてもこの車を出すことはしなかったと思います。
やはり、自身の分身のような車を他人に貸す気には到底なれないことと、それ以上にマニュアルトランスミッションな上にチューニングが施されているため到底万人に運転できる仕様ではなかったからです。ノーマルのエリーゼなら運転に覚えがある方になら少し貸し出すのもありだったかもしれません。シングルの非メタル強化クラッチはかなりの踏力を要しますし、イニシャル強めのLSDは知らない人にとってはコーナリング時の挙動にかなり戸惑うはずです。
車両確認
売却の決意が確認できたところで、現物のチェックから始めていきます。自分の車でも見直してみると案外客観視できていなかった部分に気付かされるものです。
ですので、知っている気にならずに、その固体の特徴やオプション、装備品などのアピールポイントを正確に自分の目と感覚で把握しておくことが重要です。
また、逆にマイナス面がある場合も適切に把握し、あまりお金をかけずに可能な範囲で補うようにしましょう。客観視できない場合は、車に詳しい友人知人に擬似的に買い手になってもらい現車確認してもらうのもいいでしょう。
確認のポイントは以下の通りです。
- 客観的にみて内外装の綺麗さ(傷や剥げ等がないか)
- 車検証上の走行距離とメーター上の走行距離が逆転していないか
- 装備品や車内備品が全て揃っているか(取扱説明書、スペアタイヤ、車載工具など)
- 後付の装備品は何があるか(ETC、エアロパーツ、社外ホイール、ルーフキャリア、ドライブレコーダー、社外カーナビなど)
- 機関や機能に不具合箇所がないか(エアコン、オーディオ、ヘッドライト、エンジン、変速機の振動や異音がないかなど)
- 消耗品の残量(タイヤの残り山、ブレーキ残量)
- 定期点検の履歴(車検時期、エンジンオイルや各油脂類の交換時期)
上記の確認ポイントそれぞれに対して結果は以下の通りでした。
- 客観的にみて内外装の綺麗さ:5点満点で外装4点、内装4点、傷等一切なし
- 車検証上の走行距離とメーター上の走行距離があっているか:合っている
- 装備品や車内備品が全て揃っているか:交換前の純正部品がほぼ全て欠品
- 後付の装備品は何があるか:前述の通り大量にある
- 機関や機能に不具合箇所がないか:不具合箇所なし
- 消耗品の残量:タイヤ5分山交換後3年経過、ブレーキ残量5割
- 定期点検の履歴:車検残1年、量販店による3000km毎のエンジンオイル交換履歴あり
車両補修
安価に実施できる範囲で簡単な補修を行っておきます。写真映りという意味でも意外と無視できないほどの効果があるので、必ず実施しましょう。
ただし、ここでお金をかけすぎるのは禁物です。かけた分だけ欲が出てしまい売却失敗の元になりかねません。あくまでも安価に自分の労力でできることに限ります。(わざわざこれまで放置していた傷をここで板金塗装に出すなどはNGです。)
書類のチェック
いくら車が綺麗でもこの書類が揃っていなければ、ここ日本ではほぼ価値が付かないものと思ってください。それだけに書類の確認は非常に重要で間違いが許されません。
チェックポイントは以下の通りです。
- 売却に必須となる書類(車検証、自賠責保険証書、リサイクル預託証明書、印鑑証明書、譲渡証、委任状など)が揃っているか:揃っていました。
- 車検証上の車の所有者は誰になっているか:ローン会社になっていたため、ローン残金を一括返済しローン会社の所有権解除用書類を取り寄せる必要がありました。
- 売却時に有利になる書類があるか:量販店でのメンテナンス履歴とチューニングショップでの領収書
洗車、磨き
当然ですが、綺麗な車の方が汚い車より高値がつきます。手間を惜しまず時間をかけてじっくり洗車しましょう。取り急ぎ一番重要になってくるのが写真映りですので、少しオーバー目にワックスを塗りましょう。
実際に行った作業とかかった費用は以下の通りです。
- コイン洗車場での手洗い撥水洗車:1000円
- タイヤワックス:200円(タイヤワックスは、黒い樹脂パーツ全てに塗布しました)
写真撮影
車を売却する際に絶対に必要になるのが写真です。写真もみずにいきなり購入を検討し始めたり、現車確認にくる方は稀でしょう。
撮影枚数は余りにも多すぎても少なすぎてもダメです。買い手が知りたいと思う場所をピンポイントに撮影しておきます。
ポイントとなるのは以下の通りです。
- 全景:必ず最初の一枚は前からのボディ全体が入る写真です。自分が一番カッコいいと思える角度で切り取りましょう。案外オーナーの美意識は優れているもので、どんな功名な写真家よりもカッコいい一枚がとれるかもしれません。
- サイドビュー:傷や凹みがある場合にはそのクローズアップを撮影します。ただし、それほど目立たないものの場合はあえて撮影する必要もありません。
- リアビュー
- 内装
- メーターパネル
- エンジンルーム
- トランク
- ホイール、タイヤ
- 付属品
- 不具合等あればクローズアップ
車両価格の調査
一通りの売却前準備ができたところで、一体いくらくらいになりそうなのか各方面での流通価格を調査し、目標価格を試算します。
今回の場合は売ることが大原則ですので、調査の結果安かろうが高かろうがとにかく売り切ります。その代わり時間にはまだ余裕があったので少々期間がかかってでも高く売りたいところです。
車両流通価格の調査
大手の中古車販売サイト(CarGooやガリバー、カーセンサーなど)で、同車種の中から年式や走行距離、その他の条件が似た個体を探し販売価格を調査します。低年式で車両本体価格の安いものは車検有無が価格に及ぼす影響が非常に大きくなるので注意してください。
ここで調査した価格はあくまでもエンドユーザーによる購入価格となります。もし、これと近い価格がつけば最高の結果といえます。
ロータスエリーゼの場合は、350~400万円が中心となっています。とはいえ、サンプル数は限られるためある程度のブレは存在します。
ヤフオク落札履歴の調査
オークション統計サイトのオークファン(http://aucfan.com/)を利用して、過去の落札履歴から同程度の車両がいくらで落札されているかを調査します。
ここで調査した価格の最高値が今回の目標金額の一つと考えていいでしょう。また、タイミングさえ合えば最高値を更新することも不可能ではありません。
ロータスエリーゼの場合は、300~400万円の幅で推移しています。ここでもサンプル数が極端に少なく、同程度の固体を見つけるのはほぼ不可能と言えます。上下の程度から目測するしかなさそうです。
目標売却額決定
上記の調査結果から目標価格は350万円とすることにしました。実は私が購入した価格が398万円でした。もちろん購入後に追加したパーツもあるのですが、元々装着されていたものもあり、もし、350万円以上で売却できれば毎月の償却額は3万円程度と格安になります。
このあたりのリセールバリューの良さはプレミアムな車の特権といえます。
下取り
まずは、定番の下取りから検討してみました。
ただ、今回の場合は次に購入する予定だったのがメルセデス・ベンツだったため、ディーラーであるヤナセやシュテルンでの下取りとなります。
彼らは、ドイツ車のみを商材とし、ここまでの確固たる地位を築き上げてきました。それだけに、今更ロータスのような超少量生産のスポーツカーメーカーの車を積極的に扱ってくれるはずがありません。
下取りという選択肢は最初から諦めています。ここでも、売却するのがSL500の方だったら案外下取りで終わっていた可能性もあります。
一括査定
まずは、相場観を養うためにも一括査定から始めていきましょう。
手順は第一弾と全く同様です。
ただし、ロータスエリーゼの絶対数が少なすぎて相場なんてないのかもしれませんし、かなり荒れた結果になることを予測した上で進みましょう。この時点で各社競争による効果は全く期待していません。
査定士の見解を楽しむくらいの気持ちで臨んでください。ほぼ不当な扱いを受けることになりますが、いちいち腹を立てずに査定士の知識のなさを多めにみてあげましょう。
一括査定サイトへの申し込み
一括査定サイトに車の詳細を記入し送信ボタンを押します。ここでは何のコツも必要ありません。
強いて言うなら、直後から電話が鳴り止まないので、電話が受けられる状態のときに実施しましょう。また、申し込みフォームには必ずメールアドレスを載せておきましょう。
今回は楽天オート(https://auto.rakuten.co.jp/kaitori/)を使ってみましたが、別にこだわる必要はなくどこでもいいです。
査定の予約
送信ボタンを押した瞬間から大量の電話がかかってきます。いちいち全てを真に受けているといくら時間があっても足りないので、適度なところで切り上げましょう。
私の経験上、大手ほど電話連絡は早いですが査定額は低いです。全く何も気にすることはありませんし、むしろ電話には1本たりともでなくていいです。全て無視!なぜなら電話してくるところは最初から早い者勝ち狙いですが、今回の車の場合は早い者勝ちでは全く決まらないからです。
本気で査定してくる会社ほど丁寧なメールを後で送ってきます。価格調査や車内稟議に時間をようするためだと思われます。相場が存在しない以上当然のことです。
一応電話には出ましたが、各社の初期の査定額だけを聞きだしボーダーライン以下の会社には現車査定の機会すら与えませんでした。ボーダーラインは適当ですが、電話での査定結果から280万円程度にしてみました。
電話とメールの結果
ここでは実際の詳細なやり取りと、そこからのポイントについて解説させていただきます。
-中古車界の巨人G社
電話対応のみです。買う気は全くない模様です。それにしても素晴らしい価格ですね。
査定額:150万円
-中古車大手A社
電話対応のみです。買う気は全くない模様です。G社と似たり寄ったりです。
査定額:170万円
-中古車大手R社
電話回答なし。お題が難しすぎたそうですが、そこで適当な金額を出さずに素直にうちでは無理だと回答してきた誠実さに敬意を表したいと思いました。
査定額:-万円
-買取躍進中B社
電話はなし、メールによる回答のみでした。
査定額:250万円
-GTカー専門店H社
2日後にメールで回答した上で電話がかかってきました。他社の結果が出揃い150万円~250万円と想像していた以上に低かっただけに、内心ちょっと焦っていました。それだけにこのメールをみたときには正直驚きました。大手や幅広く扱うお店と専門店の間にこれほどまでの差がでるとは、予想外としかいいようがないです。
考えてみれば当然といえば当然なのですが、販路を独自に持っていれば高値をだせるはずです。このH社についてwebサイトや口コミを調べてみたのですが、やはりその筋の界隈では有名なお店のようです。評価も悪くありませんでした。電話対応も非常に知識のある方で話していて楽しかったです。
「実際に査定してみればもう少し高い金額お出しできるかもしれませんが、今は一旦この価格ということでお考えください」と、まったく無理や無駄がなく、過度な期待を持たせたり、焦りを狙った戦略を使ったりせずに好感が持てました。
この他店と専門店の価格差こそが今回のハイライトといっても過言ではないかもしれません。この点はそれほどに重要な要素です。一括査定の中ですらここまでの価格差が存在することを必ず覚えておいてください。
査定額:340万円
一括査定の結果
結果発表・・・・・・・。
GTカー専門店H社からのメールがくるまでの2日間は、「自分の相場観があまりにもずれているのではないか?」と正直なところ内心ヒヤリとしました。実際の履歴をもとに目標金額を設定しているだけにそんなはずがないとは思いつつも、グレードやチューニング有無などによって、大きくずれてしまっている可能性もゼロではないだけに焦りました。
もちろん、H社の結果から自信を取り戻し、もっと高値売却が狙えると確信にいたったのは言うまでもありません。その点も合わせてH社には感謝しています。
そうなのです。言い換えると、どれだけ専門店だろうが、利益を乗せて売却するからにはその利益の分だけ個人売買でまだまだ高値が狙えるということです。
中古車査定額決定の背景
中古車専門店は一般のユーザから買い取った車を軽く整備して(売る前の準備で紹介したのとほぼ同じ内容です。)店頭や中古車専門誌、web広告に並べて次のオーナーを探します。
この過程では部品代、人件費、広告宣伝費、店舗維持費が経費として必要になってきます。これらの総額が大抵のお店で20万円程度だと思われます。ここに利益も付加すると次の式が成り立ちます。
低価格な車の場合は非常にわかりやすく、利益を出すと言うより最低限の経費と少しの利益で決まってきます。
今回の場合は、上記と異なり高価格車なだけにリスクもありその分リターンも大きいです。利益も金額ではなく割合に変わります。
相場的に売り手側5%、買い手側5%のため今回の各社の場合は両方で10%を狙いに来るはずです。
GTカー専門店H社の買取額は見事私の読みと一致します。
売るかどうかの決断→保留の仕方
H社のズバリ最初から勝負してくる心意気には感服したものの、もちろんここは保留とさせていただきました。
目標額まで後少しだし、もう少し交渉して上乗せしてくれれば決めてしまおうかとも思いました。が、ここではその気持ちをグッと我慢して、こう伝えましょう。
『ありがとうございます。ただ、購入を検討している友人がいてね。その友人の提示額が一旦380万円だったから結論までもう少し時間が欲しい』
ここで大事なのは、確実に断るのではなく万が一他の手段でさらなる高値が引き出せなかった場合の保険として残しておくことです。そうすることで、最悪の場合でも340万円で売れるという気持ちがさらなる余裕につながります。
個人売買
いよいよ一括査定の対極となる個人売買の出番です。
個人売買の方法としては、ヤフオクや個人売買仲介プラットフォーム(Ancarなど)を過去にも紹介してきましたが、今回はそのどちらでもなくオーナーズクラブの掲示板に狙いを定めます。
理由は以下の通りです。
個人売買仲介プラットフォームの場合は、仲介手数料が少々高額で売却額の5%を持っていかれてしまいます。今回の場合だと20万円近く持っていかれることになるため、手間を考えるとH社への売却とそれほど変わりません。
そこで、考え出したのがオーナーズクラブの掲示板経由で車のことを理解してくれて本当に欲しい人に直接売却する方法です。相手にとっても、本当のオーナーと直接やりとりできる上に今後の付き合いも継続できそうというメリットまであります。
オーナーズクラブ掲示板への掲載
これまでなんの縁もなかった掲示板にいきなり売買に関することだけを記載するのは、失礼に当たるため絶対にNGです。日頃から掲示板を楽しみにしている人たちに失礼があったのでは、その口コミが広がり不利益しかありません。
まずは、その掲示板の売買以外の内容に反応してみたり、日頃から利用している実績を作っておきましょう。また、時間が許す限りオフ会等に参加するのが効率的です。思わぬ購入希望が直接聞ける可能性もあります。
オーナーズクラブ掲示板への掲載
具体的な掲載内容を参考のために載せておきます。必ずしもこれである必要はなく、とにかく自分の言葉で車に対する愛情を交えて端的に表現したまでです。
エリーゼ111Rをお譲りいたします。
2006年式 走行24000km 車検残1年付き
OUTERplusコンプリートカー
不具合箇所なし
実はもうすぐ子供が生まれる予定で、どうしても4人乗れる車に乗り換える必要があり泣く泣く手放す覚悟を決めました。(もちろんミニバンは買いません!)
興味のある方はご連絡いただけますと幸いです。
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オーナーズクラブ掲示板への掲載結果
幸いなことになんと複数人からの問い合わせをいただきました。しかも、どの方もかなり前向きに購入を希望されていて、金額についてもある程度了承済みです。冷やかしや値下げ交渉、業者などは一切いませんでした。
この質のよさこそがオーナーズクラブ掲示板の最大のメリットだと思われます。
・一人目(同じ歳の岐阜県在住Y様)
オーナーズクラブの売買専用掲示板に掲載してから約1週間が経った頃、一人の方から問い合わせがありました。
希望価格等お伝えし、具体的なお話は合って現車を見ながらということで、わざわざ岐阜県から東京都港区までお越しいただきました。この辺りからも確度が伺えます。
価格は、思い切って370万円とお伝えしたところ、即答で快諾いただけました。
・二人目(年上の造園関係のI様)
上記お一人目から遅れること2日でお問い合わせいただきました。
NHKの某TV番組で造園に関するコーナーをお持ちとのこと。購入した暁にはその番組にエリーゼを出演させてくださるそうです。楽しいお話です。
千葉県成田市から現車確認にも来て頂きましたが、370万円の価格に関しては決して高いとは思わないが、奥様許可がいるとのことで保留となりました。
結末
I様から数日後、無事に奥様OKがでたとのご連絡がありました。その後の別の方からの新たな問い合わせは特になく、このお二人で具体的にお話を進めていくこととなりました。
370万円の価格をお二人ともOKしてくださり、どちらも本当に紳士なご対応いただいているだけにどちらかに決めることなど私にはできませんでした。
そこで、最終決断の方法としてオークション方式をとらせていただきました。この方法がよかったのかどうかは未だにわかりませんが、とにかく差をつけられるポイントが金額しかなかったのです。仕方がないとはいうものの、どちらか一方を選択することと金額を上げてしまうことには少々申し訳なさもあったのも確かです。
Y様は購入後の維持費に当てる予定だった38万円を追加してくださり408万円の最終回答。I様は370万円をやっとOKもらったところで、追加などは不可能ということで棄権されました。
なんと数年後にはI様もエクシージを購入されたことをSNSで知りました。(笑)
売却後の手続き
念のため、売却後の手続きについても、解説させていただきます。
今回の車の場合は、私がローンを組んで購入していたためローン会社の所有権がついています。売却するためにはまずはこの所有権を解除する必要がありました。
買い手にそのことをお話し、まずは簡単な契約書を作成しました。契約書の中には金額や引渡し時期とその手段を記載します。
この契約書と車両のセットと引き換えに現金を受け取り、その現金を用いてローンを一括返済します。返済後1週間程度でローン会社から所有権解除用の書類一式(譲渡証明書、委任状、印鑑証明書)が郵送されてきますので、これらの書類を買い手に引渡します。この書類を使って、買い手がローン会社から直接自分自身に名義を変更すればすべての手続きが完了です。
自身の名義にすることが不可能な状態、かつ、所有者(所有権を所持している人、この場合はローン会社)以外に全額支払うわけですから、買い手にとっては少々リスクの高い話になります。このリスクを少しでも埋めるためには必ず契約書が必要となります。
もちろん、オーナーズクラブ掲示板というインターネット経由で比較的信頼の置ける出会い方ではあるものの、表面上の信頼関係だけですませずに、契約書を交わしておいたほうが後々の双方のためですので面倒がらずにやっておきましょう。
一括査定サイトと個人売買の比較結果
改めて結果を比較してみましょう。
・中古車店頭市場
売り手側の価格ではなく、店舗による店頭販売価格で次のオーナーがお店から購入する際の価格です。
300~400万円台
・ヤフオクの過去の落札履歴
350~400万円
・一括査定サイト
最高値はGTカー専門店H社の破格の340万円(最低は業界最大手G社の150万円)。同じ車に対するプロの査定額に2倍以上の開きが発生してしまいました。
残念ながら車業界とはこういうところです。正当に評価することができないのならいっそのこと買い取れないと断ってくれればいいのですが、本当に恥ずかしい話です。
大手であればあるほど、肝心の査定は手抜きで、宣伝広告費ばかりをかけて知識のない素人を鴨にするろくでもない商法には嫌気がさします。この読者の皆様なら引っかからずに見抜けることと思います。
・オーナーズクラブ掲示板
1回目:370万円
競り合い:408万円
目標設定価格350万円に対して58万円も上回る金額で売却することに成功しました。過去のオークションや店頭市場をみても高めの金額だと思われます。
そして、何よりも自身が2年前に購入した金額398万円をも10万円上回る結果に驚きです。2年間乗り続けてお金がもらえるとは・・・・。本当にプレミアムカーの市場は特殊と言わざるを得ません。
実は上がるところまでは想定していませんでしたが、購入した当初から売却時にもそれほど下がらないということはわかっていました。日頃からロータスエリーゼの相場を常にウォッチし続けて、数年では価格が変わらないことを熟知した上で購入していたからです。
その間に支払ったローンは言わば貯金と同じです。ローン残債を支払って残った分は生まれてきた娘のためにありがたく使わせていただきました。
ついでに少し脱線しますが、車離れが叫ばれて久しい昨今において、その中心となる若者に聞いて欲しいのですが、こんなお金の使い方はどうでしょうか?
賢く買えば、貯金と同じ。相場を読むことも現物の車の場合は株式投資や先物取引より遥かに簡単です。その上株券と違って乗ることまでできるのですから(笑)
ヤフオクを使わなかった理由
今回は一括査定サイトとオーナーズクラブ掲示板の2つを利用しましたが、ヤフオクは使用しませんでした。ヤフオクを最も得意技とする私としては珍しいと思われるかもしれませんので、その理由について少しお話しておきます。
理由はいくつかあるのですが、一つ目は、この車実はヤフオクで購入していました。その3ではヤフオクで売却するには少々価格が高すぎると説明していましたが、詳しく説明します。
私がヤフオクで購入したくらいですから、私が購入した2年前までは高すぎではありませんでした。
ここ最近ヤフオクへの業者の参入が激しく個人売買との割合は7:3程度にまでなってしまっているほどです。それと同時に個人売買での落札額が大幅に下落している傾向にあるのです。そのメカニズムについては、まだ解説できるほどわかってはいませんが、言えることは、今のヤフオクでこの価格帯の車を売っても、希望価格まで入札されることは稀です。最初から希望価格で出品すれば見向きもされないことでしょう。
二つ目は、以前からエリーゼオーナーズクラブの存在を知っており、オーナーズクラブ掲示板と他の売り方の間には以下のような関係が成り立つことをわかっていたからです。
オーナーズクラブは、手数料も中間マージンもなく、その上本当に欲しい人が集まっているという最高の市場です。
車による向き不向き
今回の実例による結果は大抵の車に同じことが当てはまりますが、もちろん、全ての車でオーナーズクラブ掲示板が通用するわけではございませんし、そもそもそんなクラブが存在しない車も多いのかもしれません。
しかし、もし存在していれば今回の例のように高値で売れる可能性も十分ありますので、他の売却方法と並行して試してみるのも一手だと思います。
ただし、ヤフオクと並行して出品することで購入見込み者が二手に分散してしまったり、長く広く掲載することで売れずに残っているという印象を抱かせてしまうことにも繋がりますので、期間や頻度についてはくれぐれもご注意ください。なお、これらのリスクは購入見込み数が少なければ少ないほど致命的になります。
売りたい車が今回の例に少しでも当てはまりそうなら、迷わずオーナーズクラブ掲示板に書き込むことをお薦めします。
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