ベントレーコンチGTムーンクラウドエディション発表会の体験レポート

新車・試乗情報
ベントレージャパン主催の限定モデルお披露目会にコーンズ様からお誘いいただいたので行って来ました。

車ももちろん楽しみなのですが、ベントレーの場合はディナーも豪華なので密かにそちらも楽しみにしています。こんなに美味しいものを食べさせてもらっておいて、そろそろ新しいの1台買わなきゃ申し訳ないという強迫観念にも駆られながら。

今回の主役は、ベントレーコンチネンタルGT V8S ムーンクラウドエディションです。少々長い名前ですが、日本限定わずか12台しか販売されない貴重な車にも関わらず、お値段は通常モデルの+100万円程度、2410万円というバーゲンプライスです。

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長い長い名前からわかること

まずは、長い名前の解説からさせていただきます。ベントレーのスポーティーグランドツアラーであるコンチネンタルGT、その“V8”エンジン小さいほう(W型12気筒ではなくV型8気筒)の“S”少し速いバージョンに内外装特別オーダーをしましたよ、ということです。

 

特別な12台 その内容は

この発表会にはイギリス本国の特別オーダー部門“マリナー”までが来日するという力の入れようです。伝統と信頼のマリナーによる手作業の詳細を見ていきましょう。
最もわかりやすいポイントはもちろんエクステリアカラーです。近年では、ブガッティやロールスロイスで見慣れてきた感もあるツートンカラーですが、やはり特別な車だけに許された世界です。コンチネンタルGTとしても2色に塗り分けられるのは日本仕様としては初とのこと。
このカラーリングは、ベントレーのブランドパートナーである腕に付ける計器“ブライトリング”のジェットチーム特別限定車から着想を得ています。
コンセプトとしては名前が示すとおりで、“月夜に映える車”で、“ムーンビーム(月の光)”と呼ばれるシルバーと、闇夜のような漆黒の“オニキス”の組み合わせとなっています。
また、インテリアも黒を基調としており、“ベルーガ”と呼ばれる黒革にピアノブラック仕上げのウッドパネルというなんとも美しいそれぞれ仕上げが異なる黒のコンビネーションです。

お・も・て・な・し

今回の発表会でも、ベントレーらしく着席式でのディナーが振舞われました。特に和牛のローストビーフが最高でした。もちろん厚さはトーキョーカットでした。
マリナー部門の生い立ちや歴史を一通り映像で勉強させていただき、アンヴェールの際には津軽三味線の兄弟デュオによる生演奏と、本当に趣向を凝らした素晴らしいおもてなしでした。このような素晴らしいおもてなしを受けるに値するカスタマーでありたいと、改めて感じさせていただきました。

 

ここまでで終わっては、このコーナーらしくありません。私独自の視点で一つ斬らせていただきます。

最近のベントレーのエンジン事情

ベントレーと言えば、昔からロールスロイスのスポーティーバージョン的位置づけで絶対的な地位を確立しており、エンジンパフォーマンスにも相当なこだわりがありました。カタログスペックの最高時速は全て乗員がフル乗車した状態での速度を表していたり、代々6.75リットルのV型8気筒エンジンを受け継いできていたり、と。
コンチネンタルGTも2003年に発売された初代では、6.0リットルW型12気筒ツインターボという途方もなく大きなエンジンの設定しかありませんでした。ところが、2011年に発売された第二世代からは、アウディとの共同開発(とはいうものの親会社はフォルクスワーゲンなので、結局はどちらにせよフォルクスワーゲン製)の気筒休止機構付4.0リットルV型8気筒エンジンを追加してきたのです。

 

今回の限定車、フラッグシップであるW型12気筒エンジンの方ではなく小排気量のV型8気筒エンジン版をベースに開発されています。それがどうしてなのか質問してみたところ、面白い答えが返ってきました。
「V8バージョンの方が圧倒的に売れているから」だそうです。その比率は、なんと9:1!!
私はこの数字には相当なショックを受けました。

 

現代ベントレーの顧客の実に9割もが、いわゆる廉価版であるV8をチョイスするというのです。これが驚かずにいられますか?
正直に告白しますと、驚きというより落胆です。超高級車ブランドとして世界に名を轟かせるベントレーですら、安い方(単に価格だけの話ではなく、もちろん環境性能や故障率等いろいろあるのですが)が、圧倒的に売れてしまうような世の中に対しての落胆です。車の世界、特に超高級車の世界だけは聖域だと考えていたのは誤解だったようです。
アウディ・フォルクスワーゲングループ傘下に収まるまでは、4000万円以下の車を作っていなかったほどのブランド力です。それが、お手軽なV8で半額で発売されれば誰しもが欲しがるのは、もちろん理解できます。ただ、そんな市場の論理では車を作らない、現代のトヨタ式マーケティングの真逆をいくのが超高級車メーカーだと思っていた、と言うよりもそうあってほしいと願っていたと言った方が正確かもしれませんが、どうやらそうも言っていられない時代なのかもしれません。車好きとして寂しさを感じずにはいられません。

 

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