フェラーリ・レーシング・デイズ(以下FRD)とは?
フェラーリ・オーナーとフェラーリ・ファンを対象としたフェラーリのすべてが集結する特別なサーキットイベントです。
このFRDにオーナーとして参加するためにフェラーリ購入を目指す人がいるくらいの人気で、言い換えるとフェラーリを所有しているということはFRDに参加する権利を所持しているといっても過言ではありません。
震災等特別な事情がない限りはほぼ毎年開催されており、開催地は西の鈴鹿サーキットと東の富士スピードウェイが交互となっています。
あくまでも参加するオーナーが主役のイベントであり、サーキット走行においてはなんとF1マシンに至るまですべてオーナー自らがステアリングを握ります。
ここまで歴代フェラーリF1マシンが勢ぞろいして、間近でみることができるイベント他にはないと思われます。
当日の模様
当日は、9時の会場到着を目指して8時に都内を出発しました。
途中会場に近づくに連れてどんどんフェラーリの姿が増していき、否が応でもテンションが上がります。
ゲートに到着すると事前に郵送されてきたパスの確認を受け、スタッフの誘導に従って参加者専用駐車場に駐車します。
富士スピードウェイパドック前駐車場を埋め尽くす圧倒的台数のフェラーリ達。
やはりなんだかんだ言っても赤が多いようです。
ピットやパドック、ホスピタリティなどの出入り口各所にゲートが設けられており、オーナーパス(1日2万円)がないと入れない仕組みとなっています。
ただ、すぐそばまでは一般入場券(1日2千円)でも来ることができるので、車だけ見学したい人にとっては圧倒的にコスパがよいイベントと言えるかもしれません。
展示プログラム
赤と銀二色のJ50初公開
日本への正規輸入50周年を記念した限定車、「J50」のお披露目です。
これはフェラーリ史上初の日本向け専用モデルとなっています。
ラッキーなことに注文者の一人は友人だったため、当日一緒に見学し納得いくまで写真を撮らせていただきました。
ホスピタリティルームに飾ってあったシルバーの個体です。
「KENCHAN」のナンバープレートは、実は直前まで参加していたイタリア本国でのフェラーリ・カヴァルケードのときに持参した812スーパーファストに装着していたものとのこと。
そして、驚いたことに注文者の本人まで見るのはこの日が初めてとのこと。
さすがフェラーリ、オーナーに有無を言わせずイベントに展示してしまうなんて。
もちろんオーナー特典もあって、この日一般来場者より先に朝7時から先行して見せてもらえたそうです。
このシルバー以外にも赤(おそらくロッソコルサ)の個体がピット内に展示されていました。
その他の展示
ホスピタリティエリアにはJ50以外にも様々な展示や出展がありました。
フェラーリと相性がよかったりコラボモデルを出しているメーカーとして、BOTTEGAやTODS、HUBLOT、PIRELLIなどが趣向を凝らした出展をしていました。
他にも、キャバリーノランパンテをネイルに施してくれたり、パニーニなどイタリアンな軽食も食べ放題です。
フェラーリ最新モデル勢ぞろい
ピットの一角にはフェラーリの最新モデルが一同に展示されたエリアがあり、ここは一般来場者も入れるとあって大人気でした。
まだデリバリーも始まっていないポルトフィーノから最強のフラッグシップ812スーパーファスト、488GTB、大人4人で乗れるLussoなどの最新モデルを実際に見て乗り込んだり、写真撮影をすることができます。
普段馴染みのない方にとってはフェラーリ正規ディーラーはとても敷居が高く、こういった機会は貴重だと思われます。
グッズ
他のピットでは、フェラーリオフィシャルグッズやライセンス品の模型、オフィスチェアなどを扱うショップが出展していました。
すぐ傍の本コースメインストレートを駆け抜けていくフェラーリを見ていると、ついついグッズにも手が伸びます。
特にオフィスチェアは、大塚家具が取り扱うポルトローナ・フラウの製品で、フェラーリの70周年を記念した「コクピット」と名付けられたコラボレーションシリーズです。
フェラーリの内装に実際に使われているのと同じ革を使用した豪華な仕様となっており、中でも限定モデル「ピスタ」は、フェラーリの最新最強モデル488ピスタをモチーフとしたもので、まるでフェラーリの室内をそのまま切り取ったような豪華な出来映えです。
展示の中でも、特に目を引いたものに焦点をあててレポートしました。
最後には豪華なパーティーまであり、そこではサプライズが待っていました。
今回はその2として、メインとなる本コースを使用したイベントをレポートさせていただきます。
サーキットプログラム
展示イベントも豪華でしたが、富士スピードウェイ本コースを使用したサーキットプログラムはその比ではありません。
サーキットを本拠地とするフェラーリだけに、もちろんメインはこちらです。
XX Program
XXプログラムとは、サーキット専用に改造されたフェラーリで、本社全面サポートのもと世界各地のサーキットを走行する企画です。
これを操るドライバーはもちろんアマチュアの車両オーナーであり、走行データはフェラーリの車両開発にも利用され、言わばフェラーリの開発ドライバーとなる栄誉が与えられるということです。
車両の戦闘力的には市販モデルのフェラーリどころか、各カテゴリのGTカーですら大きく凌駕するほどの性能を有しています。
それほどまでの性能を持っていながらどのレースカテゴリにも属しておらず、戦う場所を持たないという特殊なモデルになります。
公道で見せびらかすこともできず、ただひたすらにフェラーリの特別モデルでサーキットを黙々と駆け回る。
これができるオーナーは本当に限られた人だと思います。
参加車両としては、2世代前のフラッグシップでエンツォと同じV12エンジンを持つ599がベースとなる599XX、エンツォのサーキット専用バージョンFXX、最強の限定モデル ラ・フェラーリがベースのFXX-Kがあります。
これらを所有できるようになれば、フェラーリオーナーとしては頂点付近ということになるでしょう。
ドライバーによって、速さにかなりバラつきがあったのが印象的でした。
1コーナーの侵入速度やブレーキポイントが、FXXとFXX-Kの間にもかなりの差がみられました。
F1 Clienti
XXオーナーですら頂点付近と表現したのは、このF1 Clientiの存在があったからに他なりません。
フェラーリの本業と言っても過言ではないF1コンストラクター、そのフェラーリが生み出した最高傑作を分け与えられるという栄光。
車趣味人の頂点といって差し支えないと思います。
数十億円という価格も凄いですが、何より本物のF1を走らせることができるドライビングスキルも見逃せません。
経済を操る手腕と、レーシングドライバー並みのドライビングスキルを併せ持つことがどれほど困難なことか想像すらできません。
勝手ではございますが、「真の神々の遊び」と認定させていただきます。
ラッキーなことに今年は過去最高の参加台数で10台も見ることができました。
過去最低は1台という年もあったそうです。
ここ最近の好景気の後押しもあり、F1購入希望者が増えているとのこと、この10台全てが日本人オーナーということに驚きを隠せません。
F1ともなれば、単純にキーを捻ってもエンジンはかかりませんし、むしろキーなんてありません。
走行させるだけでもピットクルーやメカニックのチームが必要となります。
これらのチーム費用やサーキット占有料金に至るまで自腹だそうです。
これらF1 ClientiやXX Programmesの参加者にはピット前の特別な駐車枠が与えられるのですが、やはりそこも異次元の空間となっています。
Sports drive
スポーツドライブはフェラーリオーナーなら誰でも気軽に参加することが可能です。
フェラーリを所有しているものの、サーキットを走行したことがないオーナーにはいい機会ではないでしょうか。
一度走り出せばフェラーリの本籍地がサーキットだったことを思い知らされます。
参加するためには、事前に正規ディーラーによる車両点検を受ける必要があります。
ここでの点検項目は公表されていませんが、ブレーキの残量や油脂類の劣化等サーキットを走行する上で十分性能が発揮できる状態にあるかが確認されます。
Ferrari Challenge Trofeo Pirelli
フェラーリチャレンジと呼ばれる、いわゆるフェラーリを用いたワンメイクレースです。
348までは、チャレンジキットと呼ばれる後付のパーツを市販車に取付けることで参戦が可能でしたが、355以降は最初からサーキット専用車としてチャレンジと呼ばれる車両を購入する必要があります。
快適装備が省かれており、代わりにサーキット走行に耐えうる補強やレースに出場するための必要装備が追加されています。
フェラーリでレースをする!
車好きなら誰しもが憧れる一つの究極ではないでしょうか?
究極とは言ったものの、フェラーリオーナーのヒエラルキーからするとここまではそれほど高いハードルではありません。もっともっと先があります。
フェラーリ界のヒエラルキー
フェラーリはもはや工業製品を超えた芸術作品の域に達しているモデルが存在しています。
過去のそうしたモデル達はオークションの目玉となり、時には50億円以上の値をつけることもしばしば。
表のオークションには出ていないだけで、裏で100億円規模で売買されている個体もあるほどです。
最上位 究極のモデルのコレクター
フェラーリの顧客ヒエラルキーの中で最上位とされるのは、これら歴史的価値を有する極めてレアなモデルを持つオーナーです。
例えば、250GTOがそれにあたり、60年も前に39台が生産されましたが、そのすべてが現存しています。
オーナーと個体はフェラーリ本社のクラシケ部門で管理されており、誰かが手放すとなればちょっとした騒ぎです。
もう一つの頂点 F1Clienti
次と言いますか、別の頂点として前述のF1オーナーの存在があります。
コレクションだけでは飽き足りず、自分の手でモータースポーツの頂点を走らせる道を選んだ方です。
第三層 XX Program
三層目に来るのがXXプログラムに参加するオーナー。
ここへ到達するまでにスペチアーレや限定車を散々購入されています。
第四層 特別な限定車・スペチアーレオーナー
四層目は、限定車オーナーです。歴代スペチアーレやJ50のような特別な限定車を購入する層です。
第五層 通常の限定車オーナー
ようやく通常モデルが見えてきました。次が、488ピスタのような通常限定車を購入する層です。
何台か通常モデルを購入し、資格を得た人だけが注文することが可能です。
第六層 通常モデルのオーナー
最後は、普通のフェラーリオーナーです。
この層ですら十分に車好きの憧れではあるものの、フェラーリヒエラルキーからすれば最下層にあたります。
先は長いです。
番外編 ファン
フェラーリオーナーより圧倒的大多数のフェラーリファンの存在があります。
そんな多くのファンに支えられて成り立っている部分も少なくありません。
以上、少し前後の可能性はありますが大まかにわけて、フェラーリはこの6層のオーナーに分類することができます。
4と5層の間にフェラーリチャレンジを入れてもいいかも知れません。
ランチタイム
午前中は、J50をじっくり見せていただいて前述のオーナーと一緒にランチをさせていただきました。
フェラーリのランチということで期待したものの、そこはサーキットという場所柄もあり少々あわただしいものでした。
ただし、日本ではあまり見かけないブラータ(中が生のモッツァレラチーズ)や、トリュフを織り込んだラビオリなど味は抜群に美味しかったです。
運転交代要員もいたのでワインが飲みたかったですが、さすがに置いていませんでした。
ガラパーティー 488ピスタ日本初公開
すべてのプログラム終了後、17時からガラパーティーが開催されました。
F1ClientiやXXプログラムの参加者などヒエラルキーの第三層もしくは四層以上だけが招待されるパーティーです。
もちろん私はその存在すら知らされていなかったのですが、コネでなんとか潜入させていただけました。
会場にいる方全員フェラーリ界を代表するような方ばかりで、尋常ではないオーラを放っています。
運気のいい場所とはこういうことかと感心してしまいました。
西を代表するコレクター岡本氏のF1納車祝いもありました。
今日のF1Clientiが納車と同時の初走行となっていたようです。
488ピスタお披露目
舞台上では華やかなよさこい踊りが披露され、スクリーンに488ピスタのプロモーション動画が流されました。
動画が終わると同時にスクリーンがサイドに開き、最新最強のV8フェラーリ488ピスタが登場します。
この日生で見ることができるとは思っていなかっただけに感激しました。
想像していたよりも遥かにカッコいいです。
他の参加者のマナーもよくさすがだと感心してしまいました。
あとがき
パーティー終了後に帰路につこうと駐車場に戻ったところ、普通のフェラーリは私のカリフォルニア1台だけでした。
後はスペチアーレに最新のフラッグシップ812ばかり。
それもそのはず、パーティーに本来呼ばれていたメンバーはそうそうたる面々です。
次々回4年後にはコネではなくても参加できるようになりたい!と、強く誓った夕暮れでした。
実は私も初参加だったのですが、これまで参加してなかったことを心から悔みました。
それほどまでに特別な空間であり、ただ楽しいだけでなくいろいろな感想を与えてくれました。
同じように感じている方も少なくないと思います。
フェラーリオーナーの方は次回参加されることを激しくおすすめします。
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